〜第八章〜
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花火は一層派手に打ち上がりラストスパートを迎える。
気付けばカキ氷も食べ終えていた。
「……コビー。」
「ん?」
肩に手をかけて名前を呼んで
コビーがこちらを向けば
そっと、口付けをした。
一瞬触れるだけの静かな口付けを。
「………。」
「………。」
唇を離してコビーを見ると
驚いたように目を丸くして私を見ていた。
その顔が、最後に打ち上がった大きな花火に照らされる。
しちゃった。
この薄暗くて、でも周りは騒がしい
いつもと違う雰囲気に後押しされて
やってしまった。
「ごめん、急に……」
何も言わないコビーに怖くなる。
嫌われちゃった?
はしたないと思われた?
まだ早かった?
「……何か言って?」
「あ、あぁ。そうだね、ごめん。その…びっくりしちゃって……」
「……嫌だった?」
「嫌なわけないよ!嬉しかった!嬉しすぎて、ちょっと思考が停止しちゃって……」
コビーは頭をガシガシとかきながら笑った。
「ミドリは時々すごく積極的だから、僕は心臓がもたないよ。」
その笑顔を見たら
安心すると同時に恥ずかしさが込み上げてきて
抱えた膝に熱くなった顔を隠した。
「嫌われたかと思っちゃった。」
「どうして?」
「急にしたくなっちゃって。でも私からしていいのかなとか、付き合い始めたばかりだし、コビーはまだしたくないかなとか、色々考えちゃって…私ばっかり焦っちゃったかなって……」
「嫌いになるわけないよ。」
抱えた膝ごと体全部
コビーの長い腕に抱き締められる。
私のおでこの右側に
コビーの前髪が触れてくすぐったい。
「前に僕に言ってくれたように、僕もミドリの彼氏なんだから、ミドリの好きなようにしていいんだよ。僕は女の子の扱いに慣れていないから、どうしても焦ったり驚いたりして、格好悪いところを見せちゃうかもしれないけど……」
顔を上げると、優しい瞳のコビーと目が合う。
「ミドリがやりたいことは、僕が全部受け止めるよ。」
「……ありがとう。」
笑顔を見せて頷くと
コビーも嬉しそうに笑った。
「ホテルに戻ろうか。」
「うん。」