〜第八章〜
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「大丈夫?ミドリ。」
「うん、平気だよ。」
ビーチが近付いてくるにつれてかなり人が多くなり、離れないように手をしっかり握りながらコビーの後ろをついていく。
ビーチへ着くとたくさんの出店が出ていて
それ以外のスペースはほとんど人で埋まっていた。
「すごい人だね。」
「疲れた?あそこ座れそうだよ。」
「うん、ありがとう。」
小さな岩場を見つけて
コビーは首からかけていたタオルを敷くと
そこに座らせてくれた。
「僕何か飲み物買ってくるよ。ミドリはここで待ってて。」
「いいの?ありがとう。」
人混みをすり抜けて行く後ろ姿を見て
改めて、本当に素敵な人だなと思った。
昼間も今も
ちゃんと私の歩幅に合わせて歩いてくれて
大丈夫かって何度も気にかけてくれて
お尻の下のタオルとか、飲み物とか
私はコビーに何かしてもらってばかり。
部屋のこともそう。
私を不安にさせないように
変なことはしないってちゃんと話してくれて。
誰かの特別になって
大切にしてもらえることが
こんなにも幸せなことだったのかって
コビーが気付かせてくれた。
コビーを好きになってよかった。
「美味しそうだったから、カキ氷にしちゃった。」
カキ氷を両手に持ち、嬉しそうに帰ってきた。
“海軍本部大佐“なんて大それた肩書きを持ってるのが嘘に思えるくらい
少年のような屈託のない笑顔に癒される。
「イチゴとメロン、どっちがいい?」
「じゃあイチゴ。」
コビーからひとつ受け取って一口食べる。
ひんやりとした甘味が、ほてった体に染みる。
「おいしい。ありがとう、コビー。」
「うん。」
コビーが隣に腰掛けると
ちょうど花火が打ち上がり始めた。
大きな音と共に
夜空に満開の花が咲く。
それは言葉にならないくらい綺麗で
人混みの中歩いてきた疲れを忘れさせてくれた。
「キレイだね。」
「うん、キレイだ。」
隣のコビーをこっそり盗み見る。
花火が上がるたび
その色に照らされて染まる横顔に
ついつい見惚れてしまう。
ふと唇に目が止まる。
キスしたい。
自然とそう思った。
コビーは花火に夢中なのに
邪なことを考えてしまう自分が恥ずかしくて
視線を花火に戻してカキ氷を食べる。
付き合って2週間。
キスってどのくらい付き合ったらするものなの?
私たちにはまだ早い?
女の子の方からしてもいいの?
はしたないって思われちゃうかな。
でもコビーは奥手だから
待ってたら一体いつになるんだろう。
もう私の頭の中はそのことでいっぱい。
私って変?
そんなことばかり考えてるとバレたら
コビーに嫌われちゃうかな。