〜第七章〜
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なかば不貞腐れながら
コビーの食べ終わったお皿を前に昼食を済ませる。
寂しい。
けど、兵士であるコビーとお付き合いするということは、こういうことなんだ。
いつだって仕事に一生懸命で
悪い奴らを捕まえるためなら
他の何を犠牲にしても必ずやりとげる。
そんなコビーを尊敬するし
そういうところも好きになった理由のひとつ。
少し寂しい想いをするくらい我慢しなくちゃ。
「コーヒーおかわりいかがですか?」
3杯目のコーヒーを飲み終える頃
店員さんに声をかけられた。
「えっと…すみません、もう出ます。ありがとうございます。」
コビーにはここで待つよう言われたけど
これ以上長居するのも気が引けたので
私は店を出ることにした。
適当にフラフラして待とう。
レストランを出ると
クラフトショップやお菓子などのお土産品が並ぶ商店街があった。
ちょうどいい暇つぶしになりそうだったので
私はその通りを歩くことにした。
適当な時間にまたレストランに戻れば
きっとコビーと会えるだろう。
「君ひとり?こんなリゾート地で珍しいね。」
少し歩いたところで
2人のチンピラに行く手を阻まれた。
「ビンゴ。可愛いじゃん。俺たちと遊ぼうよ。」
こんなところでナンパされるなんて
面倒なことになった。
こういうのは相手にしないのが一番。
そう思って男たちの間をすりようとすると
「待てって!無視かよ。傷付くじゃねぇか。」
ひとりに腕を掴まれる。
大柄な体付きと強面に加え
振り解けないほど強い腕の力に私は焦り始めた。
「なんなんですか!?離してください!」
「いつまでその強気な態度でいられるか見ものだな。」
もう片方の腕をもうひとりの男に掴まれる。
どちらも振り解けそうになくて更に怖くなり
情けないことに足は震え
大きな声を出すこともできない。
——助けて、コビー!!!
「俺らいいホテル泊まってるからよ。連れてってやるよ。」
「どうせひとりなんだろ?」
「ひ、ひとりじゃないです…離してくださいっ…」
「どこに連れがいるってんだよ。」
周りを見回しながら、私をバカにするように下品な声で2人が笑っていると、急に現れた影にその声は一瞬で消えた。
「ここにいます。」
コビーだった。
「…な、なんだコイツ!いきなりどこからっ——」
「その手を離してもらえませんか?乱暴はしたくない。」
コビーは私の腕を掴むそれぞれの男達の腕を抑える。
「いてぇ!いてぇよ!!」
「わかった!悪かったよ!!」
私の腕が自由になったのを確認すると
コビーも男達の腕を解放した。
こんなに怖い表情のコビーを見たのは初めてだ。
そして、来てくれたことにこの上なく安心する。
「ちょっと声かけただけじゃねぇかよ。」
「若造がいい女連れやがって。」
チンピラ達は文句を言いながら去っていった。
安心したせいか、私は足に力が入らなくなってフラつく。
と、素早くコビーの腕が伸びてきて、そのまま抱き寄せられた。
「ミドリ!ごめん!ひとりにしてっ…本当にごめん!!」
コビーの腕の中は
いつになく安心できる空間だった。
「手遅れにならなくて本当に良かった。怖い想いをさせてしまったね……ごめん。僕の責任だ。」
「もう謝らないで?来てくれて嬉しいよ。」
人目も気にせず、背中に手を回して
顔を胸に押し付けて全てをコビーに委ねる。
服の上からでも伝わるコビーの体温に
私の鼓動もドキドキとうるさくなった。