〜第六章〜
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〜第六章〜
グレイスさんは中庭から去っていった。
私の胸はまだドキドキしている。
男の人から告白されたのは
人生で初めてのことだったから。
私も部屋に帰ろうと立ち上がると
「はぁ…はぁ……ミドリ……」
目の前に、息を切らしたコビーが立っていた。
「…コビー……」
会ったのは、あの日部屋で話したとき以来だ。
最後にバカって言ってしまったあの日。
思い出して気まずくなる。
「グレイスさんは?」
「あ…さっきまで一緒だったけど、もう戻ったよ。」
ゆっくり近付いてきて
私の目の前で立ち止まる。
「付き合ってるの?グレイスさんと。」
「ううん、付き合ってないよ。」
「そっかぁ……」
コビーは大きく息を吐くと
その場にしゃがみ込んだ。
「ごめん、ここに2人でいるのが見えて…いても立ってもいられなくて……ちょっと今、格好悪いから見ないで……」
片手を額に当てて顔を隠す。
でも耳が赤いのが見える。
そんなコビーが、とても愛しい。
少し前まで私を避けていたのに
どうして今はそんなこと言うの?
なんだか少し、期待してしまいそうになる……
「……実は今、告白されてたの。」
コビーと目線を合わせるように
私もしゃがんだ。
「でも、断ったよ。」
コビーが額の手を外して私を見る。
「ねぇコビー、どうしてかわかる?」
「え?」
「どうして私が、グレイスさんの告白を断ったのかわかる?」
膝に乗せて前に投げ出されたコビーの右手を
両手でそっと包む。
「私が好きなのは、2年前から変わらない。たった一人だけだよ。」
コビーの顔が赤く染まる。
きっと鏡に映るように
私の顔も赤いはず。
ねぇコビー
私、今から
あなたに告白するね。