〜第四章〜
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体を引き寄せてくる海賊から
逃げるように顔を背けていれば、
いきなり掴まれていた腕は解放され、
反動で私は倒れそうになる。
ポスッ——
気付けば海賊は目の前で伸びていて
私は誰かの腕の中。
見上げると、コビーだった。
どうやら海賊を倒して
支えがなくなり転びそうになった私を支えてくれたようだ。
「怪我はない?」
ニッコリと、いつもの笑顔が目の前に。
私は思わず抱き付いた。
「ありがとうっ。」
怖かった。
命の危機を感じたのは、生まれて初めてのことだった。
コビーやヘルメッポさんは、いつもこんな状況で役目を果たしているんだ。
助けてくれた感謝と、尊敬の念を込めて
抱き締める腕にぎゅっと力を入れると
コビーは優しく背中を撫でてくれた。
「そいつが最後の一人じゃな。終わった終わった。」
ガープ中将の声が聞こえて我に返り、コビーから離れる。
見るとガープ中将の隣には傷だらけで今にも倒れそうな男が手錠で繋がれている。
その風貌から、この海賊団の船長だと見て取れた。
その後ろの兵士たちも、捕らえた海賊たちを連れていた。
どうやら任務は完了したみたい。
ほっと胸を撫で下ろした。
ーーーーーー
後処理を終えて、軍艦は出航した。
そのままインペルダウンへ寄って海賊たちを引き渡し、その後本部へと帰還した。
私は初めての遠征に心も体もヘトヘトで
部屋へ戻ると倒れ込むように眠りについた。
ーーーーーー
部屋に戻り報告書の作成をしているコビーの元へ、酒とつまみを手にヘルメッポがやってくる。
「お疲れコビー。飲もうぜ。」
「お疲れ様でした。僕はまだ怪我が完全に治ってないのでお茶でいいです。」
「なんだよ、付き合い悪ぃな。しょうがねぇ、一人で飲むか。」
ヘルメッポはテーブルにつまみを広げて
一人酒を飲み始める。
「お前、なんか浮かない顔してんな。」
「……船の上で、グレイスさんに言われちゃいました。」
「あのミドリの上司に?なんて。」
「この任務が終わったら…ミドリに告白するそうです。」
「…そういうことかよ。だからあいつ、お前に喧嘩売ってたんだな。」
「……任務でいつ死ぬかわからない僕には、ミドリを幸せにはできないと…」
「……まぁわからないでもないな…」
「そうなんです。僕、そう言われて何も言い返せなくなってしまって……」
「だからお前、ずっと落ち込んでたのか。」
「わかりました?」
「まぁ任務には支障なかったがな。」
「……ヘルメッポさんに後押しされて、ミドリに気持ちを伝えようと考え始めてた矢先だったんで…迷ってしまって……」
「まぁ、ミドリがあの上司とくっつくとは思えねぇけどなぁ。」
「……船の上でずっと考えてたんです。何が一番ミドリの幸せなのか…」
「んなこと、お前にはわからねぇだろ。」
「はい、全然わからないんです。前は、いつか僕がミドリを幸せにしたいって漠然と思ってたんですけど……もしかしたら僕なんかより、いつも近くにいるグレイスさんの方が……」
「オイオイ、すっかり自信なくしてんじゃねぇか。」
「自分で自分が嫌になります。」
「とりあえず飲め。いいだろ、一杯くらい。」
ヘルメッポはグラスに酒を注ぎ、コビーの机に置いた。
「……いただきます。」
〜第五章へ続く〜