〜第四章〜
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甲板でミドリたちが話している頃
コビーは別の部屋でこれから捕縛する海賊たちについての資料に目を通していた。
そこへ、男が一人現れる。
「ここでしたか、コビー大佐。」
「あなたは…えっと、グレイスさん。何か?」
「少し大佐と話がしたくて。今いいですか?」
「どうぞ。」
隣の椅子を引き、グレイスに座るよう促す。
「ありがとうございます。」
「……話というのは?」
「コビー大佐、あなたミドリのことが好きですよね。」
「えっ………」
唐突な話題に、しかも図星を突かれ
コビーは持っていた資料を落としそうになった。
「そ、そんなこと!あ…あ、あなたに関係ないでしょう!」
明らかに同様しているコビーに
グレイスは笑みを浮かべる。
「単刀直入に言うと、その気持ちを諦めていただきたい。」
「は?」
「僕もミドリのことが好きなんです。彼女が本部に異動してきた日からずっと。いつも仕事に一生懸命で、可愛くて素直。あんなに魅力的な女は他にいない。」
「………。」
「僕は彼女を妻に、と考えています。」
「つっ、つま……!?」
「でも見たところ彼女はあなたに大きな好意を抱いているようです。僕にではなく。」
「それは…どうでしょうか……」
「それでも、彼女にはあなたと一緒になって欲しくない。考えてもみてください。毎日のように海賊を相手にして、命がいくつあっても足りないような仕事をしているあなたに、彼女を幸せにできますか?」
「……え…」
「あなたと一緒になっても、あなたが命を失えば、彼女はすぐに一人になってしまう。残酷なことを言いますけど、あなたは若くして死ぬことだって十分にありえる。」
「………」
「いつもそばにいる僕の方が彼女を幸せにできます。」
何も言い返す言葉が浮かばないコビーは
膝の上で拳をぎゅっと握る。
「だから大佐にはミドリを諦めていただきたい。僕はこの任務が終わったら彼女に気持ちを伝えます……では。」
それだけ言い残し、グレイスは部屋を出て行った。
「クソぉ!!」
コビーは拳を強く机に打ち付けた。
ーーーーーー
ガープ中将から解放されて
医療班の皆の元へ向かおうとすると、通路でコビーに会った。
「コビー!」
「ミドリ……」
同じ船の上にいるのになかなか会えないでいたので、私は自然と笑顔になる。
「忙しそうだね。準備は順調?」
「あぁ。問題なしだよ。」
「さっきまでガープ中将と話してたんだ。初めて会ったんだけど、面白い人だね。」
「うん、そうだね。」
なんとなく私はコビーの異変に気付く。
元気がないというか…私と目を合わそうとしないし、いつもの笑顔もない。
「…コビー、何かあった?」
「え?どうして?」
「なんだか元気がない気がして。まだ傷が痛む?」
「いや、そんなことないよ。ありがとう。僕まだやることがあるから行くね。」
「ごめんね、忙しいのに引き止めちゃったね。またね。」
「大丈夫だよ。また。」
その場を去ろうとするコビー。
私はふと思いついてコビーの手を取る。
「なに?」
「大佐だから私にはわからない大変なことが色々あるんだろうけど、元気出してね。」
ポケットに入れていた飴をその手に乗せて握らせた。
「じゃあね!」
最後に笑顔を向けて
私は再び医療班の所へ向かった。
「敵わないな……」
その場に残されたコビーは手の中の飴を見て困ったように微笑んだ。