〜第三章〜
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コビーが食堂で作ってもらったお粥を持って
再びミドリの部屋を訪ねる。
トントン——
「………あれ?」
ノックをしても返事がないので
コビーは一瞬迷ったが、そっとドアを開けてみた。
鍵は開いている。
「……ミドリ?」
ベッドを覗くとミドリは静かな寝息を立てていた。
「寝ちゃったのか……」
テーブルにお粥を置き、ベッドの横の椅子に腰掛ける。
おでこのタオルを触るとぬるくなっていたので
一度濡らして、また元に戻した。
初めて見るミドリの寝顔に
顔が赤くなりながらも目が離せないコビー。
サラッと髪を撫でる。
寝ているはずのミドリが一瞬ふにゃっと笑った。
髪を撫でられて気持ちいいのか。
何度か髪を撫でる。
そのまま乗せたばかりのタオルを取って
前髪をかきあげ
吸い寄せられるように
おでこに口付けを落とした。
「ん………」
くすぐったさにミドリが微かに動いたので
慌てて離れ、タオルを戻す。
幸いミドリは気付かず眠っている。
「…僕は、なんてことを……」
無意識ではあったけど、自分がしてしまったことが恥ずかしくて、また顔が赤くなる。
これ以上無防備なミドリに変なことをしでかす前に、テーブルに書き置きを残して
コビーはすぐに部屋を後にした。
ーーーーーー
ふと目が覚める。
いつの間にか眠ってしまっていた。
誰かに頭を撫でてもらう夢を見た。
でも部屋を見渡しても、誰もいない。
テーブルの上を見ると、お粥が置かれていた。
その横にメモが置いてあったので、それに手を伸ばす。
『お粥置いておきます。解熱剤ももらっておいたので、食べたら飲んでください。コビー』
そうだった。
コビーが食事を取りに行ってくれるのを待ってる間に眠ってしまったんだ。
せっかくお粥を持って戻ってきてくれたのに、私が寝ちゃってて困っただろうな。
優しいからそのまま寝かしておいてくれたんだ。
もう少し一緒にいてほしかった、というのが本音だが、自分で勝手に寝ておいてそんな考えはわがままだ。
早く熱を治して、また私から会いに行こう。
私は少し冷えてしまったお粥をひとり食べる。
ガチャ——
「ミドリ。起きてたのね。具合はどう?」
「レイラさん。ぐっすり寝たからだいぶ良いです。ご迷惑おかけしてすみません。」
「気にしないで。でも驚いたわ。あのコビー大佐とミドリが良い仲だったなんて。付き合ってるの?」
「そんなことないです!同じ基地出身で、もとから友達だったんです。」
「さっき彼が、あなたが寝てるから後よろしくお願いしますってわざわざ言いにきたのよ。噂通りの好青年ね。」
「真面目なんですよね。」
「……なるほど、好きなのね。」
「えっ……」
「可愛いわねミドリ。そういう話大好き。色々話聞かせて?」
「レイラさん仕事は?」
「ちょっと話したらすぐ戻るわよ。」
ーーーーーー
その日の夕食どき、食堂でひとり食事をするコビーのもとにヘルメッポがやってくる。
「おい、お前何してんだよ。」
「あ、ヘルメッポさん…」
「今日はミドリと出掛けてたはずだろ。もう帰ってきちまったのか。夜はこれからだぜ?」
「変な妄想してるようですけど…今日はミドリが熱を出してしまって、中止になったんです。」
「熱?ははは!それでお前ひとり寂しく飯食ってるのか。」
「ほっといてください。」
「寝込んでるなら見舞いにでも行ってやればいいじゃねぇか。」
「昼間行ったんですけど…ダメです!もう行けません!」
「なんだ、ミドリの寝顔に欲情でもしたか?」
「………。」
「おいおい図星かよ…いよいよ手ぇ出しちまったか!」
「声が大きいです!……僕は自分がこんなに鬼畜だとは思いもしませんでした…ヘルメッポさん、僕は…犯罪者です……」
「な、何しちまったんだよ、一体…」
「おでこに…その…キ、キ、キスを……」
「……それだけ?」
「それだけって!大変なことです!相手が無抵抗なのをいいことに、寝顔の可愛さに思わず……僕は理性も保てない最低の男です!」
「キスくらいで大袈裟な…しかもおでこ。どんだけ純情なんだ、お前。」
「今からでも土下座して謝りに行くべきでしょうか?」
「んな必要ねぇよ。どうせミドリは寝てて気付かなかったんだろ?まぁ起きてても怒りゃしねぇだろうし。やっちまったもんは仕方ねぇんだからもう気にすんな。」
「でも…」
「そんなこと気にしてる暇あったら、さっさと告白することを考えろよ。」
「告白?」
「ウジウジ悩んでねぇで、いい加減自分の気持ちを伝えろ。こういうのは男から言うもんだ。」
「そっか。そうですよね……」
ヘルメッポに背中を押され
決意を固めるコビーであった。
〜第四章へ続く〜