じゅじゅさんぽVol.11【メカ丸と三輪の願い】
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【じゅじゅさんぽVol.11】
――メカ丸side――
名前とは、人が生まれて初めて与えられる"願い"であり"呪い"だ。
俺の名前「幸吉」に一体どんな願いが込められているかなんて知らない。
ただそれはとても儚いものであることだけは知っている。
天は二物を与えない。
与えられたのは、呪力。
与えられなかったものは、自由。
強大な力を幸福と呼べたなら、どんなに良かっただろう。
だが俺は、俺にとってはそれは幸福などではなく、呪いでしかなかった。
◆◆◆
10月19日。
「遅かったな。忘れられたかと思ったぞ」
俺の前に真人と夏油傑の姿があった。
俺はこいつらに協力し情報を提供していた。
その対価として真人の術式である「無為転変」でこの体を治してもらう、そういう"縛り"を結んでいた。
生まれながらにして右腕と膝からの下の肉体と腰から下の感覚がない。
肌は月明かりでも焼かれるほどもろく、常に全身の毛穴から針を刺されたような痛みがある。
全身に包帯を巻き、生命維持装置に身を浸している状態でなければいけない。
望んで手に入れた能力じゃない。
肉体が戻るなら喜んで呪力を差し出したっていい。
そう望んだ結果が、これだ。
「彼には渋谷でも働いてほしかったけど、仕方ないね」
俺がこいつらに協力するのは今日でお終いだ。
「"京都校の人間には手をださない"。先に"縛り"を破ったのは貴様らだろう」
「やったのは花御だもーん。八つ当たりはやめてほしーなー」
ふざけた顔でふざけたことを抜かすこの呪霊を今すぐにでも殺してやりたい。
「呪霊と議論する気はない。さっさと治せ、下衆」
「勢い余って芋虫にしちゃいそう」
「真人。他者間との"縛り"は自らが自らに科す"縛り"とは違う。その違いの1つに"
男の言葉に真人はげんなりとしながらも素直に従い、俺の頭に触れた。
そして男の術式により、俺はずっと待ち望んでいた身体を手にすることができた。
動かすことのできなかった身体はまるで意思を持った一つの生命体のように自由自在に動く。
ちゃんと自分の足で立っている。
夢のようだ。
「かわいくないなー。もっとハシャげよ」
「……それは、事が済んだ後だろう」
本当に喜ぶのは、こいつらの前でじゃない。
彼等の、彼女の前で、一緒に喜んで笑い合いたい。
大量の人型ロボットを真人に仕向け、その間に俺はダムの底に隠していた巨大ロボット、装甲傀儡究極メカ丸 試作0号「
肉体を縛った年月(17年5ヶ月6日)で得た、特級クラスの莫大な呪力を放出できる。
【拡充比正常。知覚フィードバック遮断】
"帳"が降りてる。
夏油のだな……。
俺を閉じ込めるだけじゃなく、電波も断たれている。
「五条悟のようにはいかないな」
俺の勝利条件は五条悟だ。
どんな手段でもいいから、五条悟と連絡を取り、渋谷の計画を伝え、そして保護してもらう。
だが、"帳"とそれを降ろした夏油に集中するには、真人を倒さなければいけない
こいつは危険すぎる。
どうやら夏油は高みの見物で、俺と真人の戦いに割り込む気はないらしい。
いつまでその余裕が続くか。
こっちの劣勢は変わらない。
だが、勝算はある。
全て。
全てを視てきた。
今まで得た呪力。
出し惜しみはしない。
脳裏に浮かぶ、彼女の笑顔。
会いたい。
それだけだ。
「チャージ1年!!焼き払えメカ丸!!」
1年分の呪力をビームにし、掌から放出する。
あいつの呪力が切れるまで焼き続ける気はない。
メカ丸の攻撃では真人の魂まで傷つけられないからな。
それをきっとあいつも今ので理解したはずだ。
俺の攻撃を避け続ける真人は、姿を変え水中の中へ逃げ込む。
「チャージ2年"
2年分の呪力を両手をから放出し水面にあてれば、傀儡を越す高さの水しぶきが上がる。
水圧によって打ち上げられる真人はメカ丸の頭部に手を伸ばす。
そうだよ、
俺の攻撃など意に介していない。
だからこそ、そこに
真人のパワーは思ったよりも凄まじい。
グダグダとしていると装甲を破られてしまう。
俺は手にしたカプセルを真人に向かって撃った。
それは真人の左腕にズズズと入り込み、肉体を変形させて再生する真人に傷を付けた。
魂ごと破壊されるなんて思わなかっただろう、真人。
逃げ隙も攻撃する隙も与えてなどやらない。
攻撃を続けていたが、あいつは小さな鳥の姿に変形し、メカ丸の腕の間からするりと逃げ出した。
「チッ!!また鳥か。芸の無い!!」
その時気づいた。
さきほど飛ばした左腕が再生している……。
……いや、魂の形をこねくり回して、再生したように見せかけているだけだ。
これみよがしにしているのがいい証拠だ。
大丈夫だ、俺のこの手は……効いている!!
いける!!
勝てる!!
会うんだ!!
皆に!!