じゅじゅさんぽVol.10【致死量の傷】
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五条先生に連絡をした時て数分。
俺の前に五条先生が現れた。
いつか俺と馨が映画を見ていた時に、急に湖の上に瞬間した移動したあの日と同じように。
先生はぱっと姿を見せた。
「状況は?」
いつものらりくらりと掴みどころがなく軽いノリの先生だけど、そんな雰囲気は今はどこにもない。
目隠しをしているせいでどんな表情をしているのかわからないけど、怒っていることだけは理解できた。
俺は、さきほど男たちに襲われ返り討ちにしたこと、馨がまだホテルの中にいて連絡が取れないことを話した。
視線を一切ホテルから外さない先生。
暫くの沈黙の後、先生は
「悠仁、警察を呼んでくれる?それと救急車も」
「え?」
いろいろ聞きたい事はたくさんあったのに。
先生は何も言わずに真っすぐにホテルの中に入って行った。
ガードマンらしき男二人に絡まれてたけど、一瞬のうちに地面に転がっていて。
ただそれを眺める事しかできなかった俺は、はっと我に返り先生に言われた通り警察と救急車を呼んだ。
どう説明すればいいか悩んだが、ここは正直に話すしかないと思い、今まで知らべてきたことを事細かに話した。
が、真面目に聞いてくれる人なんていなくて、それどころか「事件性がないと動けない」とか言いやがった。
腹が立って、怒りの感情に任せたまま口を開こうとした時。
俺のスマホがひょいと誰かに奪われた。
「強姦現場が目の前にあり、被害に遭われている女性が実際にいる事実に対して、事件性がないと本気で言っているのですか?」
「ナナミン!?」
目の前にいるナナミンに、驚きを隠せない。
まさかナナミンがここにいるなんて。
五条先生が呼んだんだろうか。
なんて、考えているとナナミンが深いため息を吐いて俺にスマホを返した。
「警察は事件が起きないと動きません。ならば事件を公にすればいいだけの話です」
「お、おう……。ていうか、なんでナナミンがここに?」
「説明は後で。私達に中に入りますよ。夏油さんが危険に巻き込まれている可能性があるのでしょう」
馨の名前がナナミンの口から出て、俺の中の緊張が張りつめた。
いつも危険な目に遭って、いつも俺を助けてくれて、いつも誰かのために傷ついて。
例え、彼女が助けを求める人物が俺じゃなくたって。
そんなことはどうでもよくて。
俺はただ彼女に笑っていてほしいから。
馨が望む幸せをただ願っているから。
だから。
「気張っていきましょう」
「応!!」
彼女を―――馨を助けるんだ。