じゅじゅさんぽVol.6【○○しないと出られない部屋】
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結局その後も、グダグダと文句を言う人たちが続出しじゃんけんも徒競走もなしになり、じゃあ他になにかいい案があるのかという問いかけに空気は悪くなる一方。
最悪の場合、まじでこれ私と悟が選ばれることになるかもしれない。
そんなのは嫌だ。
扉一つ隔てたあの部屋で、そう言う行為をしてるって思われるのは嫌だしその後絶対決まづくなるじゃん。
2年や伏黒は私が呪いを孕んだ時に、解呪するために悟に抱かれたということは知っているし、野薔薇も旅行に行った時に話したから知っているけど、どちらも"聞いた"話であって、実際に見たわけじゃない。
人から聞くのと自分の目で見るのは違う。
百聞は一見に如かずっていうだろ。
だから、私はその可能性を打ち砕くために何か他にいい方法が無いかを考えた。
みんながもみくちゃにしたせいでくしゃくしゃになっている紙を手に取り、もう一度よく読む。
【セックスしないと出られない部屋】
何度も何度も繰り返し読んだ。
…………………………。
やべえ、私天才かもしれない。
この場所から抜け出せる方法が見つかった。
しかも誰も傷つかず貞操が守られる方法。
「すじこ?明太子?」
私の異変、というか雰囲気が変わったのに一番初めに気が付いたのは狗巻棘だった。
「なに、馨。何かいい方法でも見つかった?」
狗巻棘の声に悟が反応し、私の所へとやってくる。
解呪できるかどうかは正直分からないけど、やってみる価値はある。
「夜蛾!!」
「学長をつけなさい」
悟に注意をされながら私は夜蛾の元へと走る。
みんなはそんな私に視線を注いでいた。
「夜蛾!!今、呪骸って持ってるか⁉持ってなかったら作れるか⁉」
「呪骸……?なんで今それが必要なんだ?」
「いいから答えろよ!!!」
夜蛾の襟首を掴み、がくがくと揺さぶる。
傍から見ればオヤジ狩りをしている女子高生にしか見えない絵面。
「持っていないし、道具がないから作れない」
………マジかよ。
終わった。
私はその場に膝をついた。
走ったり叫んだり落ち込んだりした私を不気味がる彼等の視線が痛い。
私はゆっくりと立ち上がり、なんで夜蛾に呪骸が必要なのかを説明した。
「紙には"セックスしないと出られない部屋"としか書かれていなかった。必ずしも全員が性行為をする必要がないと禪院真希が言ったように、ここには"人物"とは書かれていない。だから夜蛾の呪骸を使って性行為でもさせようと思ったんだ。人形遊びみたいに」
だけど、それは打ち砕かれてしまった。
頭を掻いて大きなため息を吐く。
「本当は伏黒の式神でもいいかなと思ったけど、式神使うたびに伏黒変なこと考えそうだからさ。感謝しろよな」
「まだ何にも言ってねえだろ。それに俺はムッツリじゃねえ」
「それこそ誰も言ってねえよ」
口論になりかけそうになったが虎杖と禪院真希に止められた。
私の優しさを少しは感じろ。
「でも、その考えは面白いわね。無機物でもいいって事でしょ」
何かを考えている野薔薇は右手に金槌、左手に釘を持ち悟に手渡す。
ついでに私の鍵も悟の手に渡った。
「成程、そういうことか」
無言で見つめ合っていた野薔薇と悟だったが、何か意図を感じ取ったのか、悟はにやりと口角を上げて釘と金槌と鍵を持って隣の真っピンクの部屋に入っていった。
悟が入ってから数分。
何も聴こえない静寂だけが流れる。
どうやらあの部屋は防音になっているらしかった。
「新しい金槌買わなくちゃ」
ぼそりと呟く野薔薇。
なんで新しいの買う必要あるんだろう。
別にアレどこもひび割れてないし壊れてもないのに。
「"そういう行為"に使われた道具を持ち運ぶなんて嫌に決まってんでしょ」
その一言で全てを理解した。
悟は今あの部屋で、鍵と釘と金槌を人に見立てて3つの道具同士で性行為をさせているんだ。
………想像したけど、何だこの絵面。
28歳成人男性がセックスごっこをしているんだ。
やべえ奴じゃねえか。
更に数分後。
真っピンクの部屋から悟が出て来た。
どこかテンションが下がっているように見えるのは気のせいだろうか。
そして数秒後、私達は眩い光に包まれた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
眩しさから一転。
私達は、元の食堂にいた。
「……まじか」
思わず零れた言葉。
次の瞬間には疲れ切った盛大なため息が9個聞こえた。
「戻ってこれたあ~……」
椅子どかりと腰を下ろす虎杖。
「つうか、"人物"じゃなくていいって良く気付いたな」
伏黒がどこか感心したような声で言った。
「おかか。こんぶ」
「悪かったって棘。怒るなよ~」
と、自分を売られたことに怒る狗巻棘とパンダの姿。
七海と夜蛾は疲れ切った表情で「夜、飲みに行くぞ」「はい」という会話をしている。
野薔薇と禪院真希も似たような感じでショッピングに行ってストレスを発散したいと言っている。
そんな私は未だになぜかテンションの低い悟に駆け寄り、大丈夫かどうかを聞けば、ただただ無言で首を横に振った。
不貞腐れたり拗ねたりする姿はいつも見ているが、こんな状態の悟は初めてみた。
「何が悲しくて、鍵と釘と金槌でセックスさせなきゃいけないんだよ。……しかも自分の声で……」
小さく文句を垂れる悟の言葉に、みんな「あ……」と察した。
喘ぎ声も言葉攻めも全部こいつは一人でやったのか。
笑っちゃいけないんだけど、想像するとすげえおもしろい。
笑いをこらえているせいで、その場にいる全員の肩が震えている。
それに気づいて流石に怒った悟は、特級呪物を忌庫に置いてくるとプンスコしながら姿を消した。
いや、そもそもの原因オマエだからな。
心の中で突っ込んだ。
こうして、長い長い一日が終わったわけだが。
夜、私は悟に無理やりセーフハウスに連れて行かれ、セックスをした。
だけど、言葉攻めも囁かれる言葉もあの道具たちでもやったのかと思ったらまた笑いがこみあげてきた。
それがいけなかったのか、手加減などされずにめちゃくちゃに抱かれ潰されたのは言うまでもない。