じゅじゅさんぽVol.6【○○しないと出られない部屋】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【じゅじゅさんぽ】Vol.6
目が覚めると、知らない部屋に私たちは閉じ込められていた。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
その日、私たち1年と2年は夜蛾と七海と一緒に昼飯を食べていた。
何故にこの面子なのかと言うと、1年と2年で体術の訓練をしていたら、たまたま夜蛾と七海を発見したパンダが2人も一緒に昼飯を食おうと誘ったためである。
食堂で昼飯を食いながら談笑していたら、そこにやってきたのは白髪頭の男、悟だった。
みんなで飯を食っているのが羨ましくなったのか、悟は「僕も一緒食べる~」と言い、こちらへとやってきた。
端っこの席に座ろうと椅子を引いた時、何かを思い出したのか悟はポケットの中から小さな箱を取り出し「これ特級呪物」と軽々しく言った。
まるで「これお土産ね」というくらい軽薄に。
テーブルにそれを置いた瞬間。
私達を眩い光が包み込んだ。
そして目が覚めたら、知らない部屋の中にいた。
全員こうなった原因である男を睨む。
「テーブルに置いたらスイッチ押しちゃったみたい」
てへっと舌を出す男をこれほどまでに殴りたいと思った事はない。
「どうやってここから出んだよ」
「解呪条件を満たせばすぐに出られるよ。特級呪物と言えど、下の下の下だからね」
「…………」
それはオマエにとってはじゃねえの。
もしこの解呪条件が「一人10000体の呪霊を祓わないと駄目」とかだったらどうすんだよ。
狗巻棘もそうだが、私の呪力だって持つかどうかが分かんねえぞ。
何て、思っていた私。
10000体の呪霊を相手にした方がどれだけ楽だったかと後悔したのはそのすぐあとだった。
「あの、先生……」
気まずそうに、言いずらそうに、伏黒が悟を呼ぶ。
どうやら解呪条件を見つけたらしい。
彼の後について行く私達。
隣にも部屋があったのか、と呑気な事を考えていた私の目に飛び込んできたのは、壁一面真っピンクの部屋。
そこに鎮座するはデカイベッド。
嫌な予感しかしなかった。
それは私だけでなく、他の連中も同じようでそう言う感情が顔に出ている。
「あれです」
と指さす伏黒の先。
一枚の紙が壁に貼り付けられていた。
そこにはこう、書かれていた。
【セックスしないと出られない部屋】
ぴしりと全身が硬直したのが分かった。
夜蛾と七海に至ってはマリアナ海峡並みの深いため息を吐いていて、虎杖は若干ソワソワしている。
三者三様の反応を示しながら、私はその紙を壁から引き剥がし何もない部屋へと戻った。
予想だにしないこの解呪条件に、流石の悟も笑みを消していて。
「点呼!!イチ !!」
いきなり始まる点呼。
悟の合図に反射的に数字を言った。
イチ、ニ、サン、ヨン、ゴ、ロク、ナナ、ハチ、キュウ、ジュウ。
点呼した結果。
この部屋には10人もの人間がいることが判明。
……………………………。
「いやこれはおかしいだろ!!!!」
普段見ない伏黒のテンパった叫び。
私は全力で頷いた。
「普通こういうのってデキている二人かデキかけの二人が対象だろ……?なんで俺達まで巻き込まれてんだ?」
「しゃけ!!」
パンダの言葉に狗巻棘も全力で頷いた。
ちょっと待てよ。
デキてる二人なんて言い方すんなや。
そんなこと言ったら調子づく奴がいるだろうが。
「馨……」
「黙ってろ、オマエは‼」
いつの間にアイマスクを外したのか、青い瞳で私を見つめ手を握る悟の腕を振りほどいた。
なんでみんなの前でセックスしなくちゃいけねえんだよ、絶対嫌だわ。
「しかし、下手したらここに歌姫さんや家入さんなど他の術師もいたかもしれないと思うと、むしろこの人数で済んでよかったのでは?」
「七海って時々変な方向にイカレてるよね」
だが確かに七海の言う通りかもしれない。
ここに歌姫先生や家入硝子、補助監督でる伊地知さん、新田明までとなると人数がえぐいし、何よりカオスすぎる。
というか今もカオスなことに変わりはないのだが。
「10人……。10人で、つまり。そういう行為ってのは……」
「10÷2だろ……。ということは5セット……」
「虎杖君、計算をするのはやめてください」
無意識に計算をし始める虎杖を注意する七海。
その気持ちは痛いほど分かる。
数字にした瞬間になんか、こう。
言い難い気持ち悪さと言うか、生々しさというか、変に意識してしまうから。
その時、腕を組んでいた禪院真希が希望のような絶望のような一言を放った。
「別に全員じゃなくてもいいんじゃねえ?解呪条件には"全員"とは書いてねえんだし」
一斉に紙に書かれている文字を眺める。
【セックスしないと出られな部屋】
確かに"全員"とは書いていない。
ということは一組がヤれば全てが収まる。
一瞬救われた気持ちになった が、ここで問題なのは一体誰と誰がセックスをするのかと言う事。
嫌な汗が流れたと同時に、パンダがものすごくこの場に不釣り合いな明るい声を出した。
「俺、パンダ。人間の性行為分からない。……ということでよろしくな、棘。相手は俺以外で」
「おかか!!おかか!!」
狗巻棘の肩に手を置くパンダに掴みかかり取っ組み合いが始まる。
誰かが「もうこれでいいんじゃない、性行為」と言ったのが聞こえて思わず笑いそうになったのは秘密だ。
「ここは公平にじゃんけんでもしよう。じゃんけんを超える公平なやり方はないからね」
まとまりのなくなってきた集団を珍しくまとめる悟。
悟の提案で、セックスする人間を決める方法はじゃんけんになったわけだが。
「絶対に負けねぇ」
「右に同じくです。私、グー出します」
普段はクールで落ち着いている二人が、戦闘以外でギラついているところをはじめてみた。
私だって負けたくない。
悟以外の男に抱かれるなんて嫌だ。
あ、野薔薇か禪院真希って場合もあるのか。
…………………いや、駄目だ。
ちょっと想像したけど、私の想像力じゃキスまでが限界だったけど、それでもやっぱり駄目だった。
野薔薇と禪院真希を穢したくないフィルターがオートで下りてしまった。
「待て、悟」
「学長……」
「10人でじゃんけんをしても決まるものも決まらないだろう。ここは誰かが代表者になってじゃんけんしたらどうだ?」
夜蛾の言葉に悟は「それもそうだ」と呟き顎に手を添えた。
考えること数秒。
ポンと手を叩いた悟は口を開いた。
「悠仁が代表者ね」
「俺?」
「それで負けた奴は悠仁とセックスな!!」
「ちょっと待て先生ェ!!!」
「虎杖が先生にキレてるところ初めて見たわ」
呑気に野薔薇が呟く。
でも確かに野薔薇の言う通り虎杖が悟に怒ってるところは今まで見たことないかもしれない。
伏黒はいつもキレてるけど。
そんな中。
伏黒が小さく手をあげた。
「あの……、俺らこう言うのに不慣れなので後学のためにお手本見せてもらえますか?6人ならじゃんけんでもすぐに決まりますよね?」
「おい、恵。さらっと私たちに押し付けんな。ほんとその強かさ、悟に似てきたな」
「やめてください」
「おかか!!こんぶ!!おかか!!」
禪院真希のこめかみに青筋が浮かんでいる。
普通にちょっと怖い。
狗巻棘に至ってはさっきから首を振りすぎて捥げるんじゃないかって心配になってしまう。
「それに不慣れってんなら私達だってそうだよ。人生経験値的には……」
「やめて、真希。こっち見ないで。この状況下手したら成人済みの僕たちが捕まるんだよ」
「馨に手を出してる時点で説得力ねえんだよ」
「じゃあ、やっぱりここは馨と先生ってこと?」
「野薔薇!!親友を売るつもりか⁉オマエはそんな薄情な奴だったのか⁉」
「馨、それ普通に僕が傷付いちゃうヤツ」
今のこの気分は、デスゲームに無理やり参加させられて友達に裏切られて死んでいくみたいなそんな感じ。
まさにバトルロワイヤルが展開されているんだけど、失われるのは命ではなく、プライドと己の貞操。
それぞれがそれぞれの貞操を守るために、戦っているのだ。
「でも実際問題、悟や正道、七海が捕まったら呪術界にとっては大打撃だからな。そうなったら3人は見学してもらって……」
「いや、それは……」
「大人としていかがなものかと……」
眉間に皺を寄せる夜蛾と七海。
険しい顔から伺えるのは激しい葛藤だ。
そして何かを思いついた様な顔をする七海。
「学長。私と学長なら捕まらないんじゃ……」
「確かに……」
「すんません!!!俺らにその状況を耐えるだけの精神力と人生経験値はまったくもってないので、それだけは勘弁してください!!!」
大人組以外の人間がその場に土下座をした。
脳内で想像したら吐き気を催しそうになった。
何が悲しくてそんなものを見なければいけないのか。
だからみんな腹を括ってじゃんけんをする事に。
相手は虎杖なわけだが、虎杖は虎杖でそれをまだ受け入れられていない様子。
「代表者先生じゃだめなん?」
「捕まりたくないもん」
「"もん"とか言うな、28歳が」
「なぁ、じゃんけん私反対してもいいか。じゃんけんだと負けが決まった時にモヤモヤして覚悟が鈍っちまう」
と、禪院真希は眼鏡のブリッジを押し上げた。
それに乗っかる虎杖。
じゃあ、他に何かいい勝負があるのかと問うと。
「「………………徒競走」」
「オマエらの得意分野を引っ張ってくんじゃねえよ」
特に虎杖、オマエ。
負けたくねえからってそれは卑怯過ぎねえか?