じゅじゅさんぽVol.1【中間テスト】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【じゅじゅさんぽ】Vol.1
夢の国からの帰還から数日が経った頃、私たちは中間テストを受けた。
呪術師である前に私たちは学生だ。
日頃は授業を受けているし、小テストも受けている。
中間テストは範囲が狭い分、勉強はしやすかった。
普段から授業を聞いていればテスト勉強しなくても解けるレベル。
スラスラと解く私とは対照的に、隣の席の虎杖は腕を組んで唸っていた。
見るからにあほそうだもんな、虎杖。
勉強とかも好きじゃなさそう。
そんな虎杖を横目に、私も目の前の問題に集中した。
ぶっちゃけ、今まで受けたどのテストよりも真剣だった。
なんたってこれは勝負だ、五条悟との。
全教科95点以上取れば、殺していいって本人が言ってた。
馬鹿め。
私の頭の良さを舐め腐ってやがる。
貴様の敗因はそれだ。
後悔して死ね。
自然とにやける口を抑え、私はペンを走らせる。
今受けているテストは現国。
時間配分は完璧中の完璧で、最後の問題に時間を割いたとしても、残りは30分以上ある。
私ってやっぱり天才かもしれない。
「……………は?」
思わず声が漏れた。
最後の問いの問題文に目を通した瞬間、私の脳内は時間が止まった。
【五条悟の大好きなところを10個書いて♡】
ふ、ざ、け、た、お、せ。
わなわな震える手を抑え、ぎりっと教卓横に椅子に座る五条悟を睨む。
てめえ、やりやがったな、てめえ。
しかも配点10点ってなんだよ。
一個1点かよ。
書かない、という選択肢をさせないための巧妙な罠…… !!
95点以上とらなければ勝てない状況で、これは酷い。
糞が。
例え5個書いたとしても、他の答えが間違っている可能性はある。
リスクはでかい。
どうする、夏油馨。
どちらにせよ、なんだこの敗北感は。
書いても書かなくてもこれは私の負けだ。
糞が!!!
やってやろうじゃねえか。
試合に負けて勝負に勝ってやる。
私は、再びペンを走らせる。
【顔だけはいい。足が長い。手が意外とごつい。まつ毛長い。白髪。呪術師最強。六眼。金持ち。28歳】
思いつくことを書いたけど、あと一つが思いつかない……。
クソ、ここで諦めるのか夏油馨。
頭を悩ませている間にも時間は刻々と迫る。
振り絞った脳ミソで、私はゆっくりと最後の一つを紙に書いた。
チャイムが鳴り、試合終了。
ペンを置いて回答用紙を回収。
私は、沈んでいた。
「なんだよ、夏油。お前もダメだったのか」
「うるさい虎杖。私は今、自分自身と戦っているんだ」
「え、テスト終わったのに?」
テストじゃない。
私が戦っているのは、私の心理とだ。
最後の一個、やはりあれは失敗だったか。
いや、駄目だ。
アレをあいつに見られたとなれば、それこそ私の負けという名の死だ。
結局私は最後に書いた一個を消した。
大丈夫だ。
たった一個書かなかったとしても、99点スタートだとしても。
大丈夫。
私は、負けない。
1/3ページ