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「先生、覚醒が始まりました」
青い髪の毛をした女性が家入硝子にそう告げた。
硝子は女性に時間を計るように指示をし、こちらを振り返る。
「どうやら彼らはまた目覚めてしまったようだ。また彼らの苦しみが始まる」
そう言うと硝子は新聞紙を渡してきた。
それは4年前の新聞記事。
そこには、こう書かれていた。
2018年10月31日。
渋谷で起きたテロにより大規模な被害が事細かに書かれている。
「彼らが私の元へやってきてもう4年になる」
4年前、彼らは渋谷にいた。
テロの主犯である夏油傑を止めるために、五条悟、虎杖悠仁、釘崎野薔薇、禪院真希、他にもたくさんの人がその渦中の中にいた。
大規模なテロに巻き込まれながらも、逃げようと試みる。
だが……。
五条悟は途中で夏油傑の手により重症。
釘崎野薔薇も禪院真希も途中で重症を負った。
虎杖悠仁は逃げ切ることができたが、倒れているところを発見。
夏油傑はその場から逃走するも"何か"に拒まれてしまい、記憶が混濁した状態で発見された。
重症を負った3名は奇跡的に命を取り留めた。
検査の結果。
彼等はテロによるショックや後遺症で精神が侵されていることが判明した。
「彼らはそれぞれ順番を変え、話し手と聞き手を上手にローテンションし空想上の人生を語り合っています。その話の内容は現実的なものからあってはならないことなど、私達を驚かせるようなものばかりだった」
「先生、釘崎野薔薇の今後の報告書です」
「ありがとう。……私達は彼等を導く役割を演じているんだ。そして彼らはやがて、真実に気が付く」
「先生、覚醒がはじまりました」
「彼らはまた現実からの逃避を繰り返す」
硝子は大広間へと目を向けた。
扉の前で立ちつくす5人だったが、いきなり扉に向かって走り出した。
「逃げろ!!」
「逃げろってどこへ!!」
「どこでもいい!!とにかく遠くまでだ!!」
「遠くってだからどこまでだよ‼」
「見て、なんか光ってる!!」
「どこ⁉」
「ちょっと、なんか追って来てる!!」
「本当だ!!」
「なんだ、俺達追われてんのかよ⁉」
「あいつら追いかけてきてる!!走れ!!」
「なんだよ、教えてくれよ!!誰に追われてんだ!!」
「説明しろよ!!」
「どうでもいい!!今は逃げる事だけを考えろ!!」
「近づいてくる!!」
「なんだってんだ!!」
「気を付けて、行き止まり!!」
「なんだ、なんだよ、この壁!!」
「どうしてこんなところに!!」
「どうしよう!!」
「おいみんな!!ノブだ!!ノブがあるぞ!」
「本当だ!!ドアノブがある!!」
「開けろーーーっ!!!!」
5人は扉のドアノブに手を掛け、勢いよく開けた。
眩い光が彼らを包み込む。
光が収縮し消えてなくなると、彼らは静かにそっと扉を閉めまた立ち尽くした。
そして彼らは再び閉じた世界に入り込む。
「私はね、双子の妹がいたんだけど死んじゃったの」
と、ポニーテールの女性が言った。
「俺、死刑を宣告された時は流石に真っ白になった」
と、ピンク頭の男性が言った。
「僕は、世界から最強って言われています」
と、白髪の男性が言った。
「田舎が嫌で都会に移り住んだの。大好きなお姉ちゃんにも会いたかったから」
と、オレンジ頭の女性が言った。
「私には、親友がいたんだ。仲直りできずに離れ離れになってしまったけど」
と、お団子頭の男性が言った。
「この病院には彼らのような妄想患者がたくさんいるんだ」
彼等の言葉を聞きながら硝子は静かに語る。
「自らの閉鎖した壁。現実から離れた暗闇へ入り込む彼等。私達はこう呼んでいるんだ。"D-O-O-R"。……Darkness Out Of Real。彼らはあり続けるために"閉鎖"のドアをくぐるんだ。何度も何度も。また彼らの物語が始まるよ」
さぁ、彼らは今度は一体どんな夢を見るんだろうね。
硝子は静かに笑って、こちらを見つめた。
彼らが語る物語は。
夢か、現実か。
CLOSEー閉鎖ー