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その頃、街中の大型液晶ビジョンには臨時のニュースが流れていた。
銀行強盗が起きており、ピストルを所持した犯人は銀行員や客を人質に立てこもっていると。
人々はそのニュースに足を止め息を呑む者や、割れ関せずと言った様子でスタスタと歩く人達と様々な反応を示していた。
その頃、銀行内では。
「珍しいこともあるんやな。アンタも驚いているだろうが、俺達だって驚いてるんや。まさか、二組の銀行強盗が鉢合わせるなんてな」
禪院直哉はニヤニヤと笑みを浮かべながら、地面に転がる拳銃を見つめる。
「ただ、拳銃しか用意せえへんかったアンタと苦労して"コレ"を手に入れた俺達との違いやっちゅうこっちゃ。金は頂いてくで」
そう言って直哉は真希の足元に置かれている黒いバックに近づき金を奪おうとした。
「悪く思うなや」
「ちゃんと手は洗ったか?汚ねえ手で触ったら金まで汚れんぞ」
「……なんやと、このアマ!!」
軽い挑発に乗せられた直哉は頭に血が上り、真希の腕を思い切り掴んだ。
ぎりっと骨の軋む音がする程強く握っているにも関わらず、真希は表情を一切変えない。
それがおもしろくない直哉は、彼女の頬を思い切り平手打ちをした。
衝撃で床に落ちるサングラス。
真希は鋭い眼光で直哉を睨みつけた。
「なんや。よく見るとなかなか別嬪さんやないの。……あんま舐めてることすると、殺すで?」
「……やめておけ」
「わかりましたよ、甚爾さん。よかったなぁ、姉ちゃん」
直哉は真希の顎を掴んだが、真希はそれを思い切り跳ねのけた。
そして直哉の頬を両手で包み込む。
急な接近に直哉の心臓は大きく跳ねるが、その手は徐々に下に下がっていき、彼の首を絞めあげた。
「汚ねえ手で触んじゃねえよ!!!」
真希はそのまま地面に投げつけた。
地面に倒れる直哉は急な締め付けから解放された反動で大きく咳込んだ。
その後ろには自分を見下ろす甚爾がいる。
甚爾は情けなく咳込む直哉を見つめたあと、真希に視線を移した。
「ハハッ。てめぇみてーなゲスな男に値踏みされたかねぇんだよ。殺れるもんなら殺ってみろよ。てめぇのその貧相なモノ蹴り上げてやるよ‼」
「なんやと、コラァ!!!」
「ははは。随分と威勢のいい姉ちゃんじゃねえか。だが、口の利き方には気をつけろよ」
どこか楽しそうな声を上げて笑う甚爾はその手に持つ物を見せつける様に真希の目の前に差しだす。
「好きな時に好きなタイミングで、俺は"コレ"をばらまくことができんだぜ!!」
瞬間。
男の持っていた袋が割れ、中に入っていた液体が直哉の全身を濡らした。
興奮した甚爾が思い切り袋を握りしめたらその握力によって割れたのである。
銀行内は悲鳴と恐怖で溢れかえった。
そして続報が入ったニュースでは、銀行犯は2組いることと拳銃の他に悪魔的事件を起こしたサリンが持ち込まれていることが大々的に報道された。
流石に今まで我関せずだった人々も足を止めた。
死人は出ているのか、中ではどんなことが起きているのか、サリンはばらまかれたのか。
時が止まりそうなほどの緊張が全国に駆け巡った。