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「桃ちゃんの街角レポートッ!!」
カメラの前で、明るく元気よく話す西宮桃。
どうやら彼女は、今SNSなどで人気のお店を取材しているようだった。
今は、女性に人気のパンケーキ屋へと向かているところらしい。
どういう風に人気なのか、何が人気なのかを、お店に着くまでの間に丁寧に説明していく。
その時。
パァンッ!!
乾いた音が響き渡った。
「なにっ⁉なに今の音⁉」
突然のハプニングに西宮はあたりを見渡す。
カメラマンも慌てて音のした場所を移すが、何も見えない。
「拳銃⁉え、あ、あの……ハプニングです!!ちょっとトラブっちゃってます!!今の音、どこでしました⁉そこっ?うっそでしょ……。あ、ディレクター、これ……。あ、はい、わかりました」
西宮はテンパりながらもディレクターから渡された紙を受け取ると、先ほどまでのテンパりが嘘のように落ち着きを取り戻す。
「突然ですが、ここで臨時ニュースをお伝えします。どうやら向かいの銀行内に、銀行強盗が現れたようです。犯人はピストルを所持し、銀行内にいる利用者や銀行員を人質に立てこもっているようです。詳しい情報が入り次第……え、マジ?……いったん、スタジオへお返しします!!!」
それと同時にチャンネルは切り替わる。
場所は銀行内。
そこには、右手に拳銃を持ちサングラスをかけた女性が笑みを浮かべながら覚える客や銀行員たちを一人ずつゆっくりと見ている。
「動くんじゃねえ。抵抗したら女だろうが子供だろうが容赦なく撃つよ。全員手を挙げろ。静かにしろ!!」
女のその言葉にゆっくりと手を挙げる従業員と客。
サングラスの奥の瞳がゆっくりと細められる。
そしてもう片方の手に持っていた大きめの黒いバックを目の前の従業員に渡した。
「このバックに金を入れろ。ありったけな」
女の気がそちらへ向けられているのをいいことに、客の一人が警察へ連絡しようとポケットの中に手を入れた。
が、女はそれに気が付き銃口を向ける。
「動くんじゃねえ!!手は頭の上に挙げろ!!てめぇ、今警察に電話しようとしたな。次妙な真似をしてみろ。容赦なく撃つぞ」
脅えた表情で女を見つめる客は小さく何度もうなずいた。
客を睨みながらも、女は横目にバックを渡し従業員を見る。
バックを抱えたまま動こうとしない従業員に舌打ちをした。
「何やってんだ!!早く金を入れろ!!」
その時、銀行内に非常ベルが鳴り響いた。
従業員の一人が隙を見て、非常ベルのボタンを押したようだった。
「てめぇ、何してくれてんだ!!」
瞬間、従業員の横を弾が通り抜ける。
響き渡る悲鳴に、女は声を張り上げた。
「静かしろ!!撃ち殺されたくなかったらな!!」
"撃ち殺す"。
その言葉に、悲鳴を上げた彼らは嘘のように静まり返る。
泣きじゃくりながらも、口に手を当ててもしかしたら今度こそ銃弾が当たるかもしれないという恐怖に脅えて。
「駄目だろ、ちゃんと言う事聞かねえと。……オマエはいつまでぼうっとバック抱えてんだ!!早く金を入れろ!!あと、そこの男!!車を手配しろ。あ?なんでって、私が乗って逃げる為だろうが。いいから早く手配しろ。死にてぇのか。それからオマエ。警察に電話してさっきのは間違えて押したって言いな。早く!!」
そう言って女は腕時計を見た。
2時54分を示す針ににやりと口角を上げる。
もうすぐ3時だ。
「閉店の準備をしろ。シャッター降ろしてカーテンを閉めろ。急げ!みんなしっかりやれよ。生きたければな」
銀行強盗犯―――禪院真希は、その場にいる全員を見渡した後、銀行員数名を残し、他は一か所に集め縛り上げた。