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「車」というものは、クラッチを踏んでエンジンとギア等を繋がなければ動かない。
オートマチック車は別として、ただアクセルを踏んだだけではエンジンが空回りするだけ。
「私に言わせると、霊的現象として扱われる"金縛り"なんてものは、車のクラッチと同じことなんじゃないかと思うんだよね」
そう言って、硝子は煙草を吸い始める。
横目でちらりと扉の向こう―――大広間へ目をやると中では真っ白い服に身を包んだ5人の男女が静かに、ただ静かに椅子に座っていた。
肺に送り込んだ煙を吐きだし、硝子はゆっくりと口を開く。
「夢を見ながら現実を見てるということ。夢の中では自分という主役を思い通りに動かすことができるし、現実でももちろんそう。だけど、ある時。目覚めて現実に戻ったのに、それでも暫く脳の中では夢を見ていると言うことがある。肉体は目覚め、目は現実を向いているが脳は眠ったまま。違う所に意識が向けられる。これが"金縛り"の原理だと私は思っている。……つまり、クラッチの繋がれていない車のアクセルを踏んでいるのと、同じことだと思うんだ」
硝子はフッと笑うと、まだ半分も残っている煙草を携帯灰皿に押し付け火を消した。
そしてもう一度大広間の中にいる5人に目を向けると、そのまま踵を返してその場から離れた。