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虎杖が椅子に座ったと同時に。
大広間の扉が開かれた。
白衣を着た女性、家入硝子は仲へと入り彼等を見渡した後ゆっくりと視線を入り口の扉へと移した。
扉の前で突っ立っている人物に声をかける。
「私の担当する患者は全部で5人。紹介するよ。まずこの白髪の男性。彼は5人の中で比較的知的な奴だよ。頭の回転は速い方だね。そしてリーダー格でもある。オレンジ頭の女性。彼女は臆病な性格でね。あまり人と会話をしたがらなかったんだけど、最近はよく話をするようになったよ。次はピンク頭の男性。彼は非常に優しい性格をしていて、よく他の患者の面倒などを見てくれているよ。団子頭の男性。彼は無口であまり自分の事を話したがらないんだ。最後に。ポニーテールの女性。彼女は当初、他の患者よりも少しだけ重症だったんだ。今ではもう回復しているよ」
淡々と5人を紹介する硝子は、ポケットに突っ込んだ手をゆっくりと引き抜いた。
そして扉の前にいる人物に手招きをしたが、一向に入ってくる気配はない。
小さく笑みを零す硝子は、再びポケットの中に手を入れた。
「彼らは毎日数時間、この大広間……ホールと呼ぼうか。このホールで互いに発表を続けることで会話を交わしているんだ。……そんな錯覚に囚われている。続き、見ていくかい?」
外の人物に声をかけ、そして硝子は静かにホールを出て硝子はポケットから煙草を取り出た。
中の様子を窺い、そして咥えた煙草に火をつけ煙を吐いた。
「今日の夢はどんなでしたか?」
と、ポニーテールの女性がそう聞いた。
自分達以外誰もいなくなった部屋で。
彼等は今日もまた夢の話を続ける。
「夢と言うのは不思議なものですね」
「え?」
オレンジ頭の女性が静かにそう呟いた。
「夢と言うのは、実は頭の片隅に描いていたことが表れます」
「ええ」
「現在とは状況の違うもう一人の自分を夢に見ることがありますね」
ピンク頭の男の言葉に、4人は頷いた。
「あれは、あの時別の道を選択していたら、自分はこうなっていたかもしれないという意識だったんです。分岐点を超えた時、こうしていればという後悔の念が将来の自分を予測して、夢に現れるんだと思います」
ただ静かに。
ピンク頭の男性の言葉に耳を傾ける。
誰も何も言わなかった。
言わなかったけど、彼の言葉をなんとなく理解していた。
静寂が流れる中。
団子頭の男性が静かに「部屋に戻りませんか」と言った。
今日の会話は終わった。
だから、部屋に戻る。
そういうルーティン。
立ち上がる4人。
しかし、白髪の男性だけが椅子に座ったまま静かに彼らに声をかけた。
「今日はもう少し、ここにいませんか」
ブルートパーズの瞳が、彼らを見る。
その瞳は以前とは違い、どこか生気を感じられた。
だが、そのことに気づく者は一人もいない。
まっすぐに。
4人を見つめる白髪の男性は、静かに口を開いた。
「私の……僕の話しを聞いていください」
同時に。
場面は切り替わった。
まるでそこはどこかの研究所のような場所。
そこにいるのは白衣を着た白髪の男性だった。
彼の手には日記帳のようなものが開かれていて、静かに目を通している。