【釘崎野薔薇】ショッピング
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休憩がてらカフェに立ちより、軽く甘いものでお腹を満たす。
やっぱり疲れた時に甘いものっていいよね。
幸せな気分になる。
野薔薇っちゃんと話すのは、同級生の男子二人と、最強と謳われる最強の呪術師。
「でさ、真希先輩のスカート履いてたの狗巻先輩だったんだけどさ。私のスカート誰が履いてたと思う?」
「誰~。想像つかない」
「あのバカ目隠しだったんだよ?ありえなくない?普通にセクハラ案件でブタ箱行きだわ」
「あっはっはっはっはっ!!やっば!!なにそれ!!ちょーウケんだけど!!」
「うるさっ!!お前の笑い声くそうるさいんだけど!!」
テーブルをバシバシ叩いて、私は目じりに溜まった涙を拭った。
そんなおもしろいことがあったなんて知らなかった。
その時に私何してたの。
「そん時のあんた爆睡してたわよ、徹夜でゲームして」
「まじかぁ。あほだね」
「ほんと、最悪だわ、あの馬鹿。しかも虎杖にその姿見せたらしくて虎杖も爆笑してたって話だからね」
「あっはっはっ!!まって~もうやめて~。お腹いたい……」
全部が面白くてすぐに笑ってしまう。
今なら転がった箸を見ても爆笑できそう。
「はぁ~笑った」
「それよりさぁ」
「うん?」
「馨は行きたい場所ないの?」
「行きたい場所?」
「そ。私ばっか付き合わせてんじゃん」
「気にしないでよ。今日の約束忘れてた私が悪いからさぁ」
「それはそうだけど。でも、疲れたでしょ。あんた、こういうところ苦手そうだし」
「野薔薇っちゃんってさ、気にしいところあるよね」
「そう?」
無自覚。
私はテーブルに肘をついて、野薔薇っちゃんの顔をまっすぐに見る。
野薔薇っちゃんの綺麗な瞳が、私の目に映ってにんまりと笑う。
「優しいって事だよ。人の事を考えられる優しい子。だから私野薔薇っちゃんが大好き」
「……なによ、急に」
「ん~?言いたくなっただけ。今度、私に付き合ってよ」
「いいけど、どうせゲームだの漫画だのでしょ」
「ピンポーン。桃鉄99年やろ」
「げぇ。考えただけで吐き気がしてくる」
「あはは。約束ね」
野薔薇っちゃんの前に右手の小指を立てる。
少し間が開いた後、野薔薇っちゃんの小指が私の小指と絡んだ。
「ゆびきりげんまん」
「嘘ついたら針千本のーます」
「「指切った!!」」
するりと離れる小指に少し寂しさを感じながらも、私と野薔薇っちゃんはクスクスと笑った。
私たちの約束は必ず指切りげんまん。
約束という名の縛り、みたいなもの。
「帰ろうか」
「そうだね」
二人席を立って、高専へ続く道を歩く。
「そうだ、はいこれ」
「なにこれ」
「今日のお詫び」
「……リップ買うって嘘だったのかよ」
「うん。野薔薇っちゃんそれ欲しそうにしてたから」
「馨のそう言うところズルいと思うんだけど!!」
歩きながら、彼女はプレゼント用に包装されたラッピングを綺麗にはがす。
そしてずっと見ていたアイシャドウを目にして今にも叫びそうな勢いで、大きく口を開いたかと思うと、右手で押さえた。
「マジで⁉めっちゃ嬉しい!!」
「よかった~」
「馨が男なら今頃付き合ってるのに‼」
白い歯を見せる彼女は嬉しそうにスキップをしてはしゃぐ。
夕日に照らされた彼女の後姿は、まるで子供みたい。
「私もだよ」
小さく零れた言葉は、彼女の耳には届いていない。
遠く離れた野薔薇っちゃんが大きく手を振っている。
私は小さく笑みを零して彼女の元へと走った。