【釘崎野薔薇】ショッピング
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ねえ!!これ可愛くない⁉」
コスメショップに立ち寄り、野薔薇っちゃんは一目散にお目当ての商品の前にかけていく。
そして目を輝かせて、私にそれを見せる。
なにがかわいいのか私にはさっぱりだ。
全部おんなじに見えるんだもん。
「野薔薇っちゃんならこっちの色が似あうと思う」
「ん~、確かに……。あんた、色彩感覚だけはいいからね」
「まぁね~。伊達に色彩の錬金術師とは言われてないからね」
「それを言うなら色彩の魔術師じゃない?」
「そうそう、それ。平成のアンリ・マティスって呼んでくれてかまわんぞ」
「これ買ってくるから待ってて、馨」
「あれ、呼んでくれない」
野薔薇っちゃんの手には私が選んだアイシャドウが握られている。
自分がいいと思うものを買えばいいのに、私が選んだやつを買うあたり可愛い人だなと思う。
彼女が会計している間に私は、彼女が見ていたもう一つのアイシャドウを手にした。
「お待たせ」
「野薔薇っちゃん、私もリップ買うから待ってて」
「りょ」
そう言って私はレジにそれを持って行った。
リップを買うと言うのは嘘。
「それ、プレゼント用で」
「かしこまりました」
包装してもらっている間、店の外で待つ野薔薇っちゃんを見る。
スマホをいじっていてその顔に隠すようにオレンジ色の髪の毛が垂れている。
日の光が彼女の綺麗な髪の毛を照らしていて、自然と笑みがこぼれた。
「お待たせしました」
「ありがとうございます~」
小さな紙袋に入った小さなプレゼント。
鼻歌を歌いながら彼女の元へ戻り、また歩き出す。
その後もショッピングは続く。
ワンピースにネックレス。
彼女の欲しいものはきりがないほどにたくさんあるようで。
全てが手に入らないからこそ、眩しく見えるのだろう。
「試着したら?」
「してくる」
今も、タイトスカートとロングスカートで頭を悩ませる彼女。
どっちも似合うと思うけど、私はロングスカートが好き。
「馨~」
「はーい」
フィッティングルームからのお声がけ。
シャッとカーテンが開けられお披露目タイム。
「タイトいいじゃん。真希先輩みたい」
「まじ?真希先輩みたいにイイ女感出てる?」
「…………出てる出てる」
「何その間。でてねえってはっきり言えや」
「出てない」
「ハッキリ言われてもムカつくな」
「どっちにしろじゃん~」
ケラケラと笑う。
野薔薇っちゃんには真希先輩のような雰囲気は出ないだろう。
真希先輩の放つオーラは半端ねえから。
姉御という代名詞そのものだ。
野薔薇っちゃんはどちらかというとヤンキーが似合う。
こんなこと言ったら怒られると思うけど。
「野薔薇っちゃんはさぁ、結構男勝りなところあるから、こういうタイトよりもロングの方がギャップが生まれて男心ぐしゃって掴むよ」
「おい、男心潰してんぞ、それ」
野薔薇っちゃんは悩んだ末にタイトスカートでもロングスカートでもなく、普通のスキニーパンツを買った。
理由を聞いたら「普通に一目惚れ」だそう。
一目惚れなら仕方がない。
ショッピングとはそういうものだ。