【釘崎野薔薇】ショッピング
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「おい馨!!」
晴れた昼下がりの日曜日。
私の部屋に勢いよく同級生の釘崎野薔薇が入ってきた。
その顔は般若のように険しい。
私は眠い目をこすり、ベッドから身体を起こす。
「……なに、野薔薇っちゃん」
「何じゃねえよ、テメー。私との約束忘れてんじゃねえぞ」
「………あ」
野薔薇っちゃんの言葉に一瞬ハテナが浮かんだが、蘇る記憶に小さく声が漏れた。
そうだった。
今日野薔薇っちゃんと出かける約束をしていたんだった。
「ゴメン。昨日、ホラゲー全クリするまで寝れまテンを一人でやってた」
「だろうな。みりゃわかる」
「ちょ、今すぐ準備するから寛いでて」
私は急いで布団から起き上がり、顔を洗って髪の毛をセットする。
適当にドライヤーをかけ、適当にタンスから服を引っ張り出す。
「ジャージでいい?」
「ふざけんな。ちゃんとオシャレしろよ」
「野薔薇っちゃん選んでー」
「チッ。しょうがないなぁ」
「野薔薇っちゃんの服のセンス好きなんだよね」
野薔薇っちゃんに服を選んでもらっている間、私は適当に化粧をした。
ファンデーションと眉毛を描いて終わろうとしたら、また野薔薇っちゃんに怒られた。
こういう時、彼女の力の入れ具合は半端ない。
「しっかり化粧しなよ。お前結構いい顔してんだから。私の次に」
「野薔薇っちゃんのそういうところ好きだよ」
「ハイハイ。ちょっと目閉じて」
アイラインやマスカラなどをしてもらって、鏡で確認。
選んでもらった服に着替え可愛く変身した姿をみてえへへと笑えば「きもっ」と辛辣なお言葉を頂いた。
高専を出るときにずっと野薔薇っちゃんに文句を言われ続けた。
「徹夜でゲームするとか、肌をいじめてんじゃねえ」
とか。
「メイク道具持ってるならちゃんとメイクしろ」
とか。
私はそれをニコニコと頷きながら聞く。
野薔薇っちゃんはすごいド田舎出身らしいけれど、そんなのを感じさせないくらいオシャレな女の子。
服のセンスもいいし、強気だし、だけど人情味あふれてる魅力的な人。
東京出身である私が霞んでしまうほど、きらきら輝いていて、彼女と友達に慣れたことが誇らしい。
第一印象は最悪だったけど。
第一声が「だっさ」だった時のショックは今でも忘れない。
咄嗟に私も「口わっる」と言ってしまったからお相子だが。
「なに笑ってんだよ」
「野薔薇っちゃんの第一印象最悪だったなって」
「はぁ⁉どこがよ!!こんなにかわいいじゃねえか」
「うんうん、かわいいかわいい」
「何その棒読み。腹立つ」
「原辰徳、ってね」
「うっわ~……」
「ちょ、引かないで。やめて。傷つく」
私から離れて歩く野薔薇っちゃんの腕を掴んで引き寄せる。
そしてお互いに笑った。
銀行に寄り、いくらかのお金を下ろす。
この前言ってきた任務の支払いがされていてよかった。
じゃなかったら、私の銀行口座には1万とちょっとしかなかったのだから。
「おまた~」
「どこ行く?私、新しいコスメと服が欲しいんだよね」
「また?この前も買ってたじゃん」
「季節限定もんがあんのよ。ゲームと違ってね」
「おいおい聞き捨てならねえな。今はやりのゲームはなかなか手に入らねえだぞ。転売ばかりされて定価の何倍もの値段しやがる。転売ヤーを祓いたい」
「口調変わってんだけど……。まぁいいや。とりあえず、マルキュー行こ」
「渋谷?」
「そ」
人が多いところは苦手だけれど。
野薔薇っちゃんが楽しそうだからいいか。