【灰原雄】雨音に
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『今日は一日中晴れです』
「今日は晴れ」
天気予報のお姉さんが笑顔でそう言った。
傘は今日必要ない。
晴れた空を眺めてテレビの画面をけした。
『今日は夕方から雨が降るでしょう』
「夕方から雨」
買い物途中、鼻を掠める雨の匂い。
一雨きそうな天気。
傘は持ってきている。
カバンの中から折り畳み傘を取り出して広げた。
以前までは使っていなかったテレビは埃をかぶっていたけど、今は被っていない。
毎日毎日、起きたらテレビを付けて時間になったら消して。
雨が降ろうと晴れだろうと、毎日天気予報を見ると少しだけドキドキした。
『今日は午前中は雨が降り、午後から晴れるでしょう』
「午前は雨、午後は晴れ」
天気予報通り、午前中は雨が降った。
お昼頃になると雨は止んで、そして空に虹が浮かんだ。
七つの光が目に焼き付いて。
雨が嫌いじゃないと言うなら虹はどうだろうか。
授業が終わったら聞いてみようかな。
聞き返されたらなんて答えよう。
私も虹は好きだよって答えよう。
「灰原君、お疲れ様」
その日、任務から帰ってきた灰原君が教室にやってきた。
七海君は疲れたから部屋に戻って少し休むらしい。
灰原君は疲れていないのだろうか。
そう聞くと「全然!!」ってにこって笑って、その笑顔が眩しい。
今日はずっと雨空なのに。
彼が隣にいるって思っただけで心臓が痛い。
なんでだろう。
わからない。
私は小さく息を吸って彼に話しかける。
いつも通りに、いつもと変わらずに。
「あのね、灰原君のおかげで天気予報みるようになったよ」
「え?うん、そっか」
「だから最近雨に濡れてない」
突然の話題に灰原君は小首を傾げるけど、それでも太陽のような笑みをは消えていなくて。
それどころか私が雨に濡れなくなったという至極どうでもいいことに対して、彼は眉毛を八の字にしてくしゃって笑って。
彼の笑った顔が泣きたくなるほど胸を締め付けてくる。
灰原君、灰原君。
私、灰原君に話したいことがたくさんあるよ。
全部全部聞いてほしいって思うのは我儘ですか、迷惑ですか。