【灰原雄】雨音に
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「雨は、別に、嫌いじゃないよ」
その日。
昼休みに七海君と灰原君と一緒に食堂でご飯を食べていた。
この日は晴れていて、体術の訓練が終わった私達は今まさにみんなで腹ごしらえ。
午後は自由時間を与えられたから、何をしようかな。
買い物はこの前言ったから、部屋でゴロゴロしようかな。
そんなことを考えて私はふと窓の外を眺める。
真っ青な空が広がっていて差し込む光が眩しい。
それを見て私は七海君と灰原君に質問をした。
家入先輩や夜蛾先生にした質問と同じ質問を。
「二人は、雨、嫌い?」
二人はきょとんとした顔をした。
なぜ急にそんな質問をしたのかというような表情を浮かべる二人だったけど、少し悩んだ素振りを見せ、七海君が最初に質問に答えた。
「どちらかと言うと、嫌いかな。気圧で頭が痛くなるし」
「たまに痛み止めの薬飲んでるもんね」
低気圧に弱いのか、七海君は雨が降る前はものすごく気分が悪そうで、梅雨の時期や季節の変わり目なんかは頭痛薬を常備しているのを私と灰原君は知っている。
今日は晴れているからか、体調は良さそう。
五条先輩にからかわれて毎日ぐったりしてるけど。
「僕は……」
七海君が質問に答え終わり、次に灰原君が答える番になった。
でもめちゃくちゃ悩んでる顔をしている。
腕を組んで「う~ん」って悩んでいて。
悩みながら食堂の窓から外を眺めた。
そして静かに口を開いて。
「僕は、雨は別に嫌いじゃない、かな」
そう言った。
外を眺めるその瞳が印象的で、窓の向こう側、晴れた青空を見ているはずなのにまるで違う景色を見ているような彼の姿に目を奪われた。
雨は好きでも嫌いでもない。
洗濯が干せないのは嫌だし傘を忘れて濡れてしまうのは嫌だけど、雨が地面に当たったり屋根に当たったりして奏でる音は割と好き。
だから特別天気予報を気にしたことがなかった。
「私も、雨、嫌いじゃない」
気づいたら、私はそう言っていた。
灰原君が見ている同じ風景を見たくて、私も食堂の窓から外を眺める。
真っ青な空と灰原君の笑顔が瞳に映って。
眩しくて少しだけ目を細めた。