【虎杖悠仁】ときめき
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その言葉が届いたのかどうかは知らない。
だが、帰ろうとした足を虎杖は止め覚悟を決めたようにもう一度向き直る。
虎杖の中にあった気持ちは一度萎んでしまった。
だが、萎んでしまったがまだ残っていた。
心の奥底に、ずっとずっと。
それはとても小さく、か弱く、触れてしまえば壊れてしまいそうな脆いものだけど。
それがあったからこそ、彼はここまで来た。
その小さな気持ちを、ときめきを育てることができるのは自分自身だけ。
言え、伝えろ。自分の気持ちを。
いまここで言わなかったら俺は男じゃねえ。
なんのためにここまで来たか、なんのためにみんながここまでしてくれたか。
「言えよ、悠仁!!」
そんな声が聞こえた気がした。
人が多くてざわざわしているこの雑踏の中で。
誰かの、五条の声が、虎杖の耳に、背中を押すその一言が、虎杖を動かした。
「馨ーーー!!!!」
馨と虎杖の瞳がぶつかった。
「愛してるーーーーーー!!!!!!」