【虎杖悠仁】ときめき
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「お客さん、ラジオつけてもいい?」
「え、うん……」
「おもしろいラジオやっててね」
そう言って五条はモニタータイプのカーオーディオを操作する。
聴こえてくる音楽と共にラジオパーソナリティらしき人物の声も聞こえてくる。
放送室からどうやってこの車にラジオが流れて来るのかという疑問はここでは御法度である。
『さぁ今週もやってまいりました、DJセブンの今夜も教えナイトの時間です。早速ではあるけど、一つ目のお便りを読んでいこう!!』
どこかで聞き覚えのある声に虎杖は眉を寄せた。
が、気にすることなくラジオに耳を傾ける。
『ラジオネーム"赤いバラのネックレス"さんからのお便りです。【私今日ウィーンに旅立ちます。自分の夢を実現させるために】』
「ごめん、五条先輩。ラジオの音上げて」
「いいよ」
『【だけど思い残したことがあります。私の誕生日を祝ってくれたタイガーくんの事です。彼とは友達以上恋人未満(古いかな)の付き合いでした。私は彼の事が好きで、たぶん彼も私に好意を抱いてくれていたと思います。でも離れ離れになってしまう私たちは結局友達のままでいようと言うことになりました。今日の飛行機で私はウィーンへと旅立ちます―――やばい!!夜蛾先生に見つかった!!逃げよう!!―――高菜!!そんな私からのお願いです!!思い続けた彼にこの曲を贈ります!!―――もう限界だって、何してんの⁉殴られるよ‼―――おかか、おかか!!それでは椎名馨さんから、あ、本名言っちゃった。"赤いバラのネックレス"さんからのリクエストで、今日のラジオを終わります!!―――七海早く!!わかってる!!】』
ぶつり、とラジオは切れた。
リクエスト曲なんてものは流れてこない車内の中。
肩を震わせて笑っている五条とは裏腹に、虎杖の目は大きく見開かれていた。
一通り笑い終わった後、五条はバックミラー越しに虎杖を見る。
「あいつ、日にち決まったら教えるって言ってたのに……」
「つらいだろうね、この彼女も。一人でさ、見知らぬ土地で頑張るなんて並大抵の勇気じゃないと思うよな。励ましとか、心の支えとか、与えてやりたいってそう思うよな。男だったらさぁ、こういう時しっかり決めてやらないとな。お客さんも、そう思うだろ?」
サングラスの奥の瞳が自分を映している。
ぐっと拳を握りしめて、今自分んできる事をしてあげなければ。
後悔なんて、したくないから。
だけど、今さら彼女に何を言えばいい。
その時、五条のスマホが音を立てて鳴った。
「はいはい~。あ~、うん。ほい」
「え?」
五条はスマホを虎杖に渡した。
自分宛てに誰かが電話をしてきたようだ。
スマホを耳に当てると。
「あ、虎杖ぃ~?私だけど、私もパンダ先輩もお腹治ったわ」
「私が調合した薬飲ませたら一瞬だったわ」
「だからよぉ、そう言うわけでお医者さん呼んでこなくていいからな悠仁」
「行きたい場所あんなら行けば?じゃあね」
釘崎、家入、パンダ、真希は電話越しに虎杖にそう伝えると、一方的に電話を切った。
ツーツーと鳴り響く音が耳に届いて、いや、そんなことはどうでもよくて。
「どうすんの、悠仁。励まし与えてやんの?それともこのまま放っておくのか?」
「あの……五条先輩」
「ん~」
「行き先、変えてください」
「いいけど、どこに?」
「決まってる!!」
「そうだよな!!ホワイトより前髪、ホワイトより前髪、作戦その3成功!!どうぞ!!」
「ホワイト?前髪?」
「気にすんな。この方が盛り上がるだろ。行くぜ!!いざ羽田空港に!!」
五条は白い歯を見せて笑い、アクセルを思い切り踏んだ。
「夏油先輩のコードネーム前髪なんすか?」
「違う。あいつが勝手に呼びやがった。あとで殺す」
「……」
一足先に羽田空港へと向かっていた彼等。
伏黒は夏油のコードネームに突っ込んでしまった。
「現地で合流するとは言ったものの、大丈夫ですかね。もうすぐ搭乗ゲート開きますよね」
「うん、でも大丈夫。あっちもあっちで刺客送り込んでるから」
今回の作戦は全員協力のもと成り立っている。
ここまで順調に運んだのはみんな虎杖と馨の恋を応援していて、みんな二人の事が好きだからだ。
そのことを二人は知らなくていい。
なぜならこれは二人の事を応援し隊のエゴなのだから。