【伏黒恵】Stay, My Darlin'!!
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『今日、虎杖が任務でいないんで、遊びに来てください』
休日の朝に、馨さんにメッセージを送ると、10分ほどで返信が返ってきた。
『いいよ』
「よしっ」
嬉しさのあまり部屋で1人ガッツポーズを取る。
返信を打ち始めると同時にスマホが振動し、続きのメッセージが届いた。
『お昼ごはん食べたら行く』
素っ気ない文章でも胸をときめかせるのには充分だった。
3年である馨さんに憧れて、告白してOKをもらったのは2ヶ月ほど前。
そこまでは良かったが、お互いの任務が忙しくなかなか2人きりになる機会が見つからない。
朝は授業から始まり午後は授業や任務、終わった後は虎杖や釘崎と飯を食いに行ったり、五条先生に捕まったり。
断ることもできたが、断ればうるさく騒ぐことは目に見えていた。
だから、彼女への欲望だけが日々空回りする日々。
できることと言えば、電波を介した文字のやり取りと、休み時間の人目を盗んだ軽いキスくらい。
圧倒的に彼女が足りない。
近くにいるのに触れることすらままならない。
それがもどかしかった。
でも今日は違う。
今日だけは、彼女は俺だけのものだ。
思っていたよりも早く扉の戸が叩かれた。
部屋の扉を開けると、馨さんが立っていた。
その光景に何故か身体が強張る。
「来たよ」
「……はい」
「これ、お土産」
「ありがとうございます」
差し出された袋をぎこちなく受け取る。
中にはジュースとスナック菓子が入っていた。
やばい、馨さんの私服、初めて見た。
頭の先から爪先まで眺める。
いつもは制服かジャージを着ている彼女は、今日は灰色のシンプルなワンピースを着ていた。
見慣れた自室に私服姿の馨さん。
かわいい。
可愛すぎる。
生足、柔らかそう、エロい。
「……あの、上がってもいいかな?」
黙ったまま突っ立っている俺の顔を、馨さんが覗き込んだ。
「どうぞ……」
「おじゃましますー」
馨さんはスリッパをパタパタと鳴らして部屋に上がる。
部屋の扉を静かに閉めて、先に入った彼女の後ろ姿を眺める。
長い黒髪の間から白いうなじが見えて、唾を飲み込む。
やばい。
やっぱ無理。
「馨さん」
「きゃ!」
我慢できずに、後ろから抱きしめた。
「ちょっと!」と声が上がるが、気にせずに首筋に顔を埋める。
甘ったるい匂いに理性が吹っ飛びそうだ。
「やめなさい!」
「いてっ」
鋭い声がして右足に激痛が走る。
見ると自分の裸足の上に馨さんの足が乗っかっていた。
スリッパを履いておけばよかった、と思った。
「何するの、危ないじゃない」
「す、すいません」
「そういうコト、いきなりする子は嫌われるよ」
「はい……」
とりあえず頷いてみせると、馨さんはにっこり笑って「うん、いい子ね」と頭をぽんぽんと叩いた。
その感触にまた目の前がぐらりと揺れる。
やばいやばいやばい、落ち着け、落ち着け。
一度目を閉じて深呼吸をした。
時間はたっぷりあるんだ。
がっつくのは駄目だ、駄目。