【七海建人】男女別々青春トークのすゝめ
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――七海建人side――
そんな甲斐性、私にはまだないです!!!!
嘘でしょ?
女子高って男子が考えてる以上にえげつないとは聞くけど、まさか高2でそこまで考えてるのか!?
そんな男、この世にいるのかってくらいの女子会トークに、思わず顔を覆いたくなる。
そして気付いた。
そんな男、目の前にいた。
しかも二人も……。
頭が、頭が痛い……。
なんかもうあれだ、銃弾が飛び交う地雷原に放り出された感じだ。
片や彼女もいない男子によるコスプレプレイ談義。
片や理不尽でしかない女子の将来設計。
私と馨を置き去りに、それぞれのテーブルはどんどん盛り上がっていく。
途方に暮れて馨を見ると、彼女も縋るような目で私を見てきた。
なんとなく、心が通じ合った気がした。
私たちは、一緒にいられるだけで幸せだよな。
目だけでそう伝えると、こくりと頷きだけが返ってきた。
思わず2人で笑みを交わす。
「っつーかさ、」
無事に平和的集結を迎えると思いきや、彼女の向かい、つまり私の隣に座っていた女子が、小声で馨に耳打ちする声が漏れ聞こえてきた。
喧騒の中で耳を傾けると「隣のテーブルの会話、さっきからちょいちょい聞こえてくるんだけど、下ネタばっかでありえなくない?」という身勝手な台詞。
「なぁ、七海」
隣に意識を集中させていたら、今度は五条さんが片手を口の横に立てて小さな声で話しかけてきた。
「隣のテーブルの話聞いてたか?さっきから金の話ばっかなんだけど」
男子って最低、と呟く隣の声と、女子っておっかねーな、と言う五条さんの声が、頭の上で綺麗に重なった。
「「理想語る前に、現実見ろって感じじゃね?」」
「えっ?」
「ん?」
見事にハモった声の下で、五条さんと女子の視線が対角線上でカチリと噛み合った。
それに合わせて、2つのテーブルの全員が何事かと口を閉ざす。
そんな奇跡的とも言える状況を目の当たりにしてしまって、同じように対角線上で視線を絡めた私と馨は「いや、それは……」と苦笑を漏らすしかなかった。
「「それは、お互い様じゃないですか……?」」
奇しくも重なったその言葉がきっかけで、付き合ってることがバレてしまった私と馨は、その後くっつけられたテーブルの真ん中の椅子に並んで座らされ、怒涛の質問攻めにあいました。
その話をするのは、また今度の放課後までのお楽しみってことで。