【虎杖悠仁】ときめき
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カラオケが終わり、彼らは店を出る。
ガラガラに枯れた喉とゴリゴリに削られた体力で、みんな瀕死の状態だった。
「じゃあ、馨気を付けて」
「おい、虎杖。送り狼になるんじゃねえぞ」
「いやいや、逆だろ。悠仁、男なら送り狼くらいなって見せろ!!」
酒でも入っているんじゃないかと疑うレベルで出来上がってる面々。
伏黒と七海に至っては電池が切れたかのように死んでいた。
それを釘崎と灰原が支えている光景に馨はくすりと笑う。
それぞれ別れて、虎杖と馨は家へと戻る。
本当は美々子と菜々子も馨と同じ家の方向ではあったが、虎杖と二人きりにするために、今日は夏油の家に泊まると言い出した。
虎杖も家の方向は逆ではあったが、一人で帰る馨の事が心配であったのと、二人きりになりたいという心境があり送り届けると言う任務に手を挙げた。
遠ざかる二人の背中を見送りながら、残された面子は思う。
早くくっつけ、と。
「明日、どういう報告がくるか楽しみだな」
「あんまり虎杖をいじめてやるなよ、五条」
「じゃあ私たちも帰ろうか」
夏油の言葉に皆頷き、それぞれの家路へと着いた。
二人きりになった虎杖たちはというと。
他愛もない話で盛り上がっていた。
夏油は真面目詐欺だとか、五条はまんま子供みたいだとか、灰原は陽気で素直で犬みたいだとか、七海と伏黒の胃が心配だとか、家入は煙草をやめた方がいい、真希は姉御肌で頼れる、釘崎はなんであんなに口が悪いのか、双子は見た目が違うからわかりやすい、とか。
先輩や友人の話で盛り上がるだけ盛り上がり、やはりそれ以上の進展は見込めない。
「じゃあ、また」
「うん、プレゼントありがとう」
馨の家の玄関前。
二人の間に妙な時間が生まれた。
何か言いたそうにする虎杖だったが、諦めたのか踵を返して歩き出す。
そんな彼の服を、馨は掴んだ。
くん、と引かれる小さな衝撃に虎杖は後ろを振り向いた。
自分よりもはるかに身長の低い彼女の頭頂部だけが虎杖の視界に入る。
「あのさ、虎杖。話があるの」
真面目な声の彼女に、虎杖の心臓が大きく跳ねる。
鈍い虎杖でもわかる。
これは告白をされるやつだ、と。
「いや、あの、そういうことは、あのぅ……、男の方から……」
「あ、や、違うの……そうじゃなくて」
「まって、俺から言わせて。えっと、馨さん!!あっ、さん付けとかなんか恥ずかしいな。えっと、馨ちゃん、馨君、、あ、違う!馨、やっぱり馨がしっくりくる。えっと、馨!!」
虎杖は自分でもテンパっていることが分かった。
死ぬほどうるさい心臓はリト馨にも聞こえているのではないかと思うほどに激しく主張をしている。
それによってか、血液に流れが速くなり顔に熱がこもる。
かさついた唇を一舐めして、震える手を馨の肩に乗せ、酷く乾いた喉から音を出そうと口を開いた。
「虎杖」
しかしそれより先に馨が、口を開いた。
そして告げられた告白に、虎杖は時間が止まったような気がして、ただ彼女の口から淡々と告げられる言葉を脳裏に焼き付けた。