【七海建人】男女別々青春トークのすゝめ
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――椎名馨side――
えっ、ちょ、うええぇぇぇ!?
何で!?
何で言ったの!?
ありえない。
そう思って彼を見ると、怒っているのか目を合わせてくれない。
いや、だって、確かに私も悪いけど、女子の世界と男子の世界は違うでしょうよ!
女子高舐めんな!
「どこで?」
「彼女の部屋です」
「「ふぅー!!」」
ダメだあれ。
完全に開き直っちゃってるよ……。
隣のはしゃぎ声に頭痛までしてくる。
「やっぱ押し倒したのか!?ガッ、て!!」
とよくわからない質問まで飛び出す始末で、あぁ、だから男子は嫌なんだ。
「ガッ……って、いや……うぅん……」
「こう、勢いでいくわけ?」
「勢い、っていうか……」
流石に弱ったのか、七海がこちらに視線を寄越してくる。
知らないわよ、自分でなんとかしなさいよ、とお返しにそっぽを向けば、「まあ、そんな感じです」なんて逃げ腰の回答。
嘘つくなよ、と心の中で突っ込んだ。
『可愛い……ほんと可愛い』
『いいでしょう?だめ、ですか?』
って耳元で囁いて、ぐずぐずになったところを頂いたくせに。
ふーん、あっ、そう。
自分でもやけに醒めてしまって、パスタを口に詰め込んでいると、「ねーねー馨さぁん」と目の前の友達が聞いてくる。
「初めてはどこだったわけ?」
「自分の部屋!」
乱暴に返すと、うそー!と悲鳴に近い声が上がった。
「初めてはホテルがいいって言ってたじゃん!自分の部屋とか死んでも嫌だって!」
「え?」
顔を上げると、視界の端っこで、え?とこちらを向く七海が見えた。
「私、そんな乙女なこと言ったっけ?」
「言ったよー!覚えてるもん。去年文化祭の片付けしながら言ってた」
「う、ん……?確かに言った記憶あるかも……」
でもそれずっと前だし……ってゆーかやばいな。
聞こえてるな、これ。
「なんで許しちゃったのー?」
「それは……」
友人にそう聞かれ言い淀んでしまった。
うーん、なんて言ったら傷付けないかな。
「別に嫌じゃなかったから、かなぁ」
しかし「雰囲気に流されたってやつか」とまさかの切り返し。
「はー!?最低じゃんそいつ」
「馨、そんな男やめたほうがいいよ」
「別れたら?」
と口々に非難されてしまった。
やべ、答え方ミスった。
視界の端に見えたのは恋人の顔。
あちゃー、やっちまった。