【虎杖悠仁】ときめき
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同じころ。
放課後の教室で男子生徒数名が恋バナを開いていた。
その中心はもちろん虎杖ではあるが。
「珍しいですね、七海先輩が恋バナに加わるなんて」
「それを言うなら伏黒君もでしょう。あなた、こういう話に興味ないと思っていましたが」
「興味ないっスよ、でも五条先輩が……」
「私も灰原に無理やりですよ……」
「おいそこの二人。ため息なんて吐くんじゃねえよ。深刻な問題なんだから」
机に脚を乗っけて、椅子をグラグラと揺らす行儀の悪い五条を睨む二人。
お前にだけは言われたくないと言う文句が心の中でシンクロする。
恋バナといっても大したものではなく、馨の誕生日が近いため何をあげたらいいのかという相談だった。
虎杖は最初に伏黒に聞いたが、伏黒はそういうことに関してとても疎い。
伏黒は従妹のいる夏油に相談し、近くにいた五条が面白がり七海に電話をし、その電話の内容をたまたま聞いていた灰原が興味をもち、結果放課後の教室に男子生徒が集まった、というわけだ。
「去年100円で取ったぬいぐるみだろぉ~?」
「五条さん、金額じゃないんですよ、気持ちが大事なんです」
「ん~、俺にはさっぱりわかんない」
「でしょうね」
「悟、少し黙っててくれるかな」
五条がいることで話がややこしくなりそうだと思った夏油は五条に釘をさす。
しかし、五条は根本的に性格が腐っているためそんな釘一つで黙るはずもない。
「五条先輩いつになく荒れてんね。どうしたの?」
「気にしなくていい。五条先輩、お前に彼女がいるって事が気に食わないだけだから」
「あと、彼女に振られたばっかりって言ってましたもんね!!」
「灰原……」
悪気なく爆弾発言を投下した灰原に視線を集中する。
その横ではむすっと唇を尖らせる五条の姿が。
また振られたのか、と虎杖は思う。
なぜこんなにイケメンな男が一ヶ月もしないうちに毎回毎回振られるのか、虎杖はよくわかっていないが、虎杖以外の連中はその理由を十分に理解しているため、振られた男を前にしても慰める言葉一つかけたりしない。
「悟のことはどうでもいいよ」
「よくない」
「今は悠仁のことだ」
「よくねえっつってんだろ」
「あとで慰める会開きましょう!!」
「灰原、君も少し黙っててくれるかな」
「え?」
「カオス……」
「帰りたい」
まとまりのない話は一生まとまることもなく、伏黒と七海はこの場所からどう脱出しようかと頭を悩ませる。
その時、夏油のスマホが音を立てて鳴った。
スマホを開けばラインの通知が。
相手は従妹の菜々子からだった。
【今年の誕生日は大勢で祝おうと真希さんの提案】
色々突っ込みたいことがあったが、詳しいことは後から聞き出せばいいと踏んだ夏油はすぐさま「OK」と返信する。
「悠仁」
「なに、夏油先輩」
「今年も二人で誕生日を祝うのかい?」
「え、う~ん……どうだろう。まだそういう約束はしてねえけど、たぶん二人で祝うと思う」
「わぁ、デートだ!!」
「灰原、静かに」
七海は咄嗟に灰原の口を塞いだ。
これ以上能天気な彼が、口を滑らせないために。
「もし悠仁が嫌じゃなかったら、大勢で誕生日を祝うとか、どう?」
「え……?」
「初対面で誕生日を祝われても困るでしょう」
「だから、その日一日みんなで遊べばいいでしょ」
伏黒の言う事にぴしゃりと夏油は返す。
「傑~何考えてんの?」
「何も」
「ん~、ちょっと聞いてみる」
虎杖はスマホを出して、馨にラインを送る。
数秒後、「いいよ」と返信が来たことで、虎杖はそのことを告げれば、なぜか五条と灰原が一番はしゃいでいた。
もやっとする心の内を悟られないように、虎杖は笑みを零した。