第3章 尊尚親愛―そんしょうしんあい―【NG】
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【OKシーン】
痛む背中に顔を歪ませながらゆっくりと上体を起こす。
と、同時に渚沙は畳に倒れた。
慌てる二人をよそに、稽古部屋には少女の笑い声が響く。
目を丸くする二人。
彼女が声を出して笑ったのは初めてだった。
「勝った!!!」
嬉しそうな勝利宣言。
笑い続ける彼女に伏黒と五条も笑みを零す。
その後、少女は電池の切れたおもちゃのようにぱたりと動かなくなった。
規則正しく上下する胸に二人はゆっくりと近づく。
「……寝てる」
「寝てるねぇ。さっきまで僕とも稽古してたから流石に疲れたか」
「…………は?」
「あれ、言ってなかったっけ?恵と手合わせする前に僕ともやってたの」
口をあんぐり開ける伏黒。
もし、彼女が万全の体力を保持していたら、どうなっていたのか。
考えるだけで恐ろしかったし悔しかった。
気持ちよさそうに眠る渚沙を五条は軽々と抱き上げる。
満足げな表情をする少女は起きる気配はない。
【NGシーン】
痛む背中に顔を歪ませながらゆっくりと上体を起こす。
と、同時に渚沙は畳に倒れた。
慌てる二人をよそに、稽古部屋には少女の笑い声が響……くことはなかった。
「……寝てる?」
「え、ガチ寝っすか?」
次のセリフは渚沙だ。
嬉しそうに笑った後に勝利宣言。
のはずが、セリフは飛んでくることなくその代わりに聞こえるのは渚沙の寝息だけ。
「嘘だろ、こんなとこで普通寝るか?」
「よほど疲れてるってことなのかな」
伏黒と五条が渚沙に近づき起こそうとした瞬間、渚沙は勢いよく上体を起こした。
「寝てました!!」
勝利宣言ではない宣言を堂々と告発する彼女に、先に笑ったのは監督だった。
「あっはっはははは!!!見りゃ分かるわ!!」
「す、すみません……いつもいつも……」
ペコペコと謝る渚沙に監督は目じりに溜まった涙を拭いて、今の所だけ切り抜いて撮るから、と言った。
そしてその後はご飯も兼ねて長めの休憩を取ってくれるとのこと。
「よかったね。これでいっぱい寝れるよ」
「うっ……。本当にすみません……」
「連日だもんな。そりゃ疲れるわ」
落ち込む彼女を励ます伏黒と五条。
彼女のミスは少なくない。
が、それでも誰も彼女を咎めないのは彼女の努力を現場にいる全員が知っているからだ。
「まぁ、お詫びとして何か奢れよ」
「ダッツでいい?」
そんな会話をする若人の後姿を眺めながら、大人たちはほほえましそうに見つめた。