第2章 南橘北枳―なんきつほくき―【NG】
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【OKシーン】
「さて。伏黒君。ここからは、覚悟してください」
「え?」
「今から、渚沙さんの下着を買いに行きます」
「!!!」
七海の言葉に伏黒は心臓を撃ち抜かれた衝撃を覚えた。
変に心臓がバクバクするのは、思春期の少年にとって同年代の女子の下着というのは、触れてはいけないタブーのようなもの。
気にしない人は気にしないのだろうが、伏黒は真面目な一面がある。
七海もまたしかり。
大人と子供とはいえ。彼らは赤の他人。
触れていいものかどうかがわかりかねない。
七海は再度思う。
こんな時、五条がいてくれたらどんなによかったか、と。
何も気にする事なくランジェリーショップへと足を運び、彼女の下着を選んでいるだろう。
七海は覚悟を決めて、彼女の手を引いた。
【OK後】
「……本当にこのシーン必要でしたか?」
シーンが終わり、次のシーンの準備をしている間七海はベンチでケータリングのお茶を飲みながら一言そう呟いた。
隣に座っている伏黒もまた一度だけ頷いて項垂れている。
彼等にとって、特に伏黒のとっては次のシーンが山場だ。
どんな顔してシーンに挑めばいいのか。
仕事なのだから、と割り切ればいいがそう簡単に割り切れずにいた。
「大丈夫だよ、伏黒君!!私物の下着じゃないから!!スタッフさんが準備してくれたものだから!!」
「……いや、そうじゃなくて……」
どこかずれた彼女の発言に、伏黒は大きなため息を吐いた。
次のシーンでは彼女のバストが分かる。
というか台本を読んだ時点で分かってはいたが、読むのと実際に演じるのとではまた違ってくる。
もうそろそろ問題のシーンがやってくる。
NGは出さない。
一発OKでシーンを終わらせる。
伏黒は覚悟を決め、空になった紙コップを握りしめてベンチから腰
を上げた。
結果、演技なのかどうなのかわからないほどの自然でいてリアルなカットが撮れたのは言うまでもない。
その様子を見ていた七海は伏黒の集中力や潜在能力に感嘆の息を吐いたとか。