2
あなたのお名前をおしえて
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ララの歌が止まり僕は駆け出した。後を追う足音が聞こえるからみんなついてきてるんだろう…ララ達がいる…いた建物はとても閑散としていて広間の中心でふたりが穏やかな顔で"止まって"居る。
約束が果たせてよかった…。僕はララの目の前にしゃがむ。会った時みたいに綺麗に澄んでいて生き生きとはしてない…人形の目…。
彼女は
『ありがとう』
ふいに誰かの声が聞こえた。とても優しい…
『壊れるまで歌わせてくれて』
……ララの声。
彼女はグゾルとの約束が守れた。そう告げると僕の懐に崩れ落ちた。
涙が溢れてくる……零すまいと思えば思うほどポロポロと出てくる…せめてと声を押し殺していると背中に温もりが……手の大きさからしてナナミさんだろう…。ははっ気を使わせてしまって申し訳ない。
僕は団服の袖でゴシッと涙を拭い宣言する。
「それでも僕は誰かを救える破壊者になりたいです。」
綺麗事すぎるって
神田だって、ナナミさんだってそれを理解して彼女たちに涙を流さないのだろう。
急に僕の腕を掴み立たされる、目線の先はナナミさんだ、慣れた手つきで団服についた砂埃もはたいてくれた、お母さんみたいだな…
「アレンならなれるさ…きっと。」
どっからそんな自信がわいてくるんだろう?正直この意志が必ずしも叶うとは思ってはない…だけど、この満面な笑顔を見る自信がついてくる。他人の僕にこうも真っ直ぐ支えてくれるなんて、ほんと頼もしいや。
するとナナミさんは声をあっ、と漏らした。神田とトマを呼んで提案した。
「一緒にララとグゾルの墓を造ろう!」
*
僕らはナナミさんの発案通りにふたりの墓を造ることにした。
見晴らしがいいとこにしよう、と見晴らしのいい丘を見つけそこに埋葬することに。この提案を聞いた時イヤそうな顔をしていた神田だったがなんやかんやグゾルを担いでくれた。僕はララを抱き上げる。カタカタっと無機質な音がまた喪失感を襲う。そんな時ナナミさんが僕の顔を覗き込むとニコッと微笑む。ついつられて僕も笑ってしまう…ほんと彼女には敵わないや……
丘についた頃には太陽は沈みきりそうで、星がちらちらと輝いている。ふたりを置き、ナナミさんが両手をポンッと叩き石に触れたらシャベルが現れる。彼女はさも当たり前化のように土を掘り始める。
「ま、待ってください!て、手伝いますよ!」
「ちっ……。」
「私も!」
確かに発案したのはナナミさん。だけど彼女ひとりでやらせるのは違う。神田もいやいやそうだが手伝う姿勢を見せてくれる。
「そっか!それじゃあお願いするよ!」
彼女はまた同じよに両手を合わせ石に触れてシャベルを3つ出す。
4人で掘ればあっという間だ、またナナミさんは適当な木材をかき集めシャベルの時同様に今度は簡素ながら棺を出した。これが新しいナナミさんのイノセンスなのかな?と思いながらもふたりを一緒の棺にいれる。
ララを入れる時、ナナミさんがそっと何かを呟いているのが聞こえたが、何を云っているかは聞き取れなかった。
蓋が作れなかったらしいが、そのままふたりに土をかけていく、どんどん姿が見えなくなってくる…寂しさと切なさが込み上げて涙をこぼしてしまう…他人に情を映してはならない…さっきわかったはずなのに、それでも涙は溢れてくる。
皆にばれないようにそっと涙を袖で拭った。今日で袖はびちゃびちゃだろうな。
「アレン、大丈夫?」
「えっ!?なん、何のことです!?」
隠していたつもりだけど…ナナミさんにはバレバレだった…苦し紛れに笑ってみたが、彼女はじっと僕の瞳を捉える。
「確かに別れって辛いよな、でもちゃんと受け止めなきゃ…な?」
そう云い僕の左胸に手を翳すナナミさん、そしてゆっくりと僕に向って倒れる。
僕はただ彼女を受け止め狼狽える…そんな僕を知ってか知らずか、僕の心の中にララ達がいるだから辛くないだろ?…平然と励ます彼女、かっこよすぎではありませんか!?
それに今更だけど、これってナナミさんが抱きついてるって事でしょ!?うわぁああ!意識した途端心拍数がぐんと跳ね上がる。待って、この心音も聞かれているんだろ?…頼むから早く離れてください!!
―べり
「…嫉妬しましたか…?」
「してねーよ…いい加減にしろ、まだ任務中だ。」
離れて…とは云ったが剥がされた。と云うのが正しいでしょう。皮肉と本音を込めて剥が…離してくれた神田に云えば彼は苦虫を噛み潰したような表情で僕らに云い捨てた。
「まぁまぁ落ち着いて。」
「これでも落ち着いていますよ?」
「そもそも落ち着いているが?」
「ひんっ!でもふたりとも殺気がやべーよ。」
ナナミさんがおろおろしながら間を取り持つが、やはり彼とはうまくやれる気がしない。彼女の云う通りに"つい"ピリピリしてしまう。
トマまでもが間に入りはたから見ればケンカをしているようだが…これはこれでなんだか楽しい…
あんなに辛く切ない気持ちだったのが少し紛れた…そんな気がした。
*
―キーーッ
ここで僕らは教団に戻り神田は次の任務に向かう。文字通りに二手に別れるのだ。
特になんの挨拶もなく汽車に乗ろうとする神田を呼び止めたナナミさん。しかもそこそこ大きな声でだ…びっくりしたぁ。
呼び止められた神田はいかにも嫌そうな顔を僕らにに向ける、いや…そんな露骨にでも嫌そうな顔しなくても…。
ナナミさんはなにか言葉を発している…
「あ?ちっせーよ声、普段は喧しいのに。」
「なっ!?」
失礼極まりない言葉…だけど、まぁ間違いではないですね…天真爛漫な彼女らしくはない。
神田はナナミさんを軽く小突き早くしろと急かす。
「だから、えっと、そのですね…いや、でも別に違いますよ?ユウと別任務で離れることが寂しいとかではなくて!」
「「嘘だ。」」
見事神田と言葉が被ってしまいつい睨み合う。
が、そんな事を気に留めずまごまごするしおらしい彼女を見ると戦意喪失される…。少し神田が羨ましい、こうも別れを気にしてもらえるとは。僕にはどうなんだろう…と思ってしまう。
神田もなにか思うトコがあるのか急にナナミさんの頭を乱暴に撫でまわす。いやがりつつも彼女の声は……神田の名を呼ぶ声はとても嬉しそうだ…。
「…ユウ?」
―ツキン
??なんだ?この感覚…。胸が苦しい。"最初にナナミさんと出会った"のは僕。それが密かな自慢であり自信であった。自分の住んでいる世界より僕と
「はっきりしねぇな、今までの威勢はどうしたんだ。それとも弱虫だから野犬の皮でも被ってたのか?」
「だー!!ばーかっ人が折角心配してたのになんだよその言草…お前なんか…お前なんか」
仲良く…無い?
確かに…うまく言葉にまとめられてはいなかったが、彼女なりに心配はしているようだった。だけど無下にするような神田のからかったつもりの言葉確はまさに"その言草"だ。
ナナミさんは自身のバックで思いっきり神田に投げつけた。勿論当てられた本人は何故?と云わんばかりに疑問符を浮かべる。
ふとナナミさんを見たら…涙目だった、それが次第にぽろぽろとまるでクリスタルのような涙の粒を流し始める。
「ナナミ、さん?」「お前…」
「アクマになんかに殺されるなよ!精々地べた這いつくばって生き延びるんだな、そして会った時大人しく俺に負けてろ!!」
そう捨て台詞を吐き彼女は歩道橋を渡って隣車線に逃げて行った。
残された僕らはしばしの沈黙の後ナナミさんが投げて忘れていった鞄を肩に背負う。
「まったく…投げるのはいいですけど忘れてしまうのはダメですよ…」
「…おい。」
「なんですか?」
「なんでまだいるんだよ…お前もさっさとアイツのところへ行きやがれ」
僕はなんであいつの云うことを聞かなくてはいけないんですかねぇ。と頭の上に乗ってるティムキャンピーに話しかける。そう云えばティムは何故かナナミさんのゴーレムのガイルタンピと仲が良い。ゴーレム内での相性ってあるのかな?
それはさておき。
「…ナナミさん泣いてましたよね…。」
「…それが、なんだ。」
「呆れた、あなた本当に馬鹿なんですね…その単純な脳みそがうらやましいです…。」
さっさと話しやがれ。と云うのでまさにさっさと彼女の意図を伝える。
「彼女は本当にあなたを心から心配で、だからあのような言葉を吐いて泣いたんです。」
「は?」
「自分は心配なんかしてない…流石彼女らしく気丈に振る舞っただけありますよ…あなたに馬鹿にされたくないからです。」
ここまで云ってようやく理解したのか、神田は反対
側の窓を向く。大方ナナミさんの姿を探そうとしてんでしょうね。
「そうそう…それと一つ…彼女を次泣かすとただじゃおきませんから。」
ベルが鳴る。
「安心しろ、次アイツを泣かすときは嬉し泣きだ。」
そして扉が閉まる。
お互い宣戦布告。彼女を守るのは自分だけだと云う様な…。僕は絶対にこの言葉を守る。
未来への著者が知らない物語
(僕/俺が絶対に守る)
