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ナナミさんとお互い後にして僕はリナリーに案内された部屋に感激した。
放浪博打ばかりをし生活費を稼ぎ、それに師匠が色んなところから借金するわ…。修行と云うより"夜逃げ生活"と例えた方がしっくりくるんではないのか?まともに泊まれたとしても大体は師匠がベッド占領していたしと、遠い目。
だから余計に今見えるこのシンプルな部屋は綺麗で清潔的に思える、切羽詰まる生活を強いれない教団暮らしは天国なんじゃないかって疑いたくなる。部屋中見渡しつつカバンを置く。
一息ついて傍にあったベッドに腰掛ける。壁にピエロが棺を担いでいる絵が飾ってある。なんだか不気味…だけど少し僕と似ている気がする。
『立ち止まるな 前に進め』思い出す彼の言葉…僕をここまで動かすことが出来た言葉、原動力。
マナ…なにがあっても立ち止まらないよ。
瞼が重くなり、少しうとうとし始める僕の身体。ベッドに横たわり目を瞑った途端軽くノックが聞こえる。ナナミさん?リナリー?彼女達とは挨拶を交わしたし…。一体誰だろ?まぁ、こんな時間だ…無視してれば明日の朝にでも出直してくれるだろ。そう考え眠りの体勢に入っていくがノックは鳴り止まない、それよりさっきよりノックの音が激しくなっていく。え?近所迷惑なんですけど。
しびれを切らし、僕は扉を開ける。
「すみません、僕今日入団したばかりで疲れて…」
すみませんとも思ってはいない、だって入団して
…そもそも『AKUMAの仲間』とか云われてたんでよ?溜息を溢し顔を上げれば…
「あら、ごめんね?"アっくん"。」
そう思うならお引き取りをと思うが、え…?こんな呼び方をするのはただひとり。声がする方に顔を向ける。そこには見覚えがある人物が立っていた。
いや、確かにさっきナナミさんとぶつかっていった人物なので見覚えがあって当たり前だ…だが、僕が云いたいのはそう云う事ではない。本当に僕の記憶の片隅に"見覚え"がある顔なのだ。
あまりの驚きで、僕の体は固まってしまった。
「あらやだ。数年振りとはいえ私のこと忘れちゃった?」
「う、うそだ…そんな…。」
僕は振り絞る声で思わず否定してしまった。
だって目の前にいる彼女は僕がまだマナと一緒にサーカス団員をしていた頃の…周りがどんだけ腫れ物扱いしてもまるでお構い無しで僕の面倒をみてくれていたお姉さん的な存在……。
でもいつからか僕からも、マナからも消えてしまった…大事な家族。
「…アメリア姉さん?」
違和感を感じるが僕の知っているアメリア姉さんではないが分かる。僕には分かる!思わず僕は彼女を抱きしめていた。僕より高かったはずだけど今は僕の方が背が高くなっている…。
「アメリア姉さん…僕探したんですよ。」
「うん、ごめんね?」
「マナも…団員、他のみんなだって焦って探してたんですから…。」
「あはは、恵まれてるなぁ私。」
背中があったかい。どうやら彼女が僕の背中を優しく撫でてくれているみたいだ。年甲斐も無く涙が、熱が目頭にこみ上げてくる。
「なんだかアっくん…見ないうちに喋り方マナに似てきた?」
前はあんなに生意気だったのに~。ケタケタと笑う彼女。そんなの…
「リア姉さんも…そんなに見た目変わって…それに…団服!?」
彼女に感じた違和感は見た目…。僕の記憶だと、煌くカナリアートパーズの髪、彼女の役職に相応しいマドンナブルーの瞳だったはず。だが目の前にいる彼女は髪は淡いクリームイエロー、瞳はイギリスの曇り空の様な色…。容姿が変わっているという事。でも顔つきや雰囲気は相変わらず(おかげで認識できた)。
そして僕がもうひとつ気づいたのは彼女が着ている服。それはエクソシストの証明の一つである団服だ。あ、少しリナリーの団服と似ている…じゃない!!
「え!?姉さんもエクソシストだったの!?」
「あはは!そうみたい!」
「そうみたっいって…。」
性格も相変わらず風来坊ぷり…。うん、間違いない。リア姉さんだ。僕は彼女が纏う雰囲気や性格に何度も振り回されましたから断言できます。
僕は立ち話もなんですから。と云い部屋に招き入れる。
「それで…僕達の前から消えた理由、それとその外見!教えてよ!」
「なんか口調元に戻ったね!私はそっちの方が好きよ!」
「冗談はやめて!」
またケタケタと笑う。なんだかなぁ。調子が狂うよ…。そう、この感じ。マナにそっくりだ…。
*
『アメリア〜!なんかお前を呼んでる奴らがいるんだけど…』
『え?私に?』
『あー…なんか今日のショーが偉く気に入ったとか。』
この時僕はアメリア姉さんの熱心なファンは沢山いるからまたそういう奴らだろうと思っていた(何度か引き抜きのオファーだって見てきた)。
『リア?僕も一緒に行きましょうか?それともこの子を…』
『ありがとマーちゃん。私に話があるみたいだからひとりでいいわ!』
そうマナとの会話を最後に彼女は戻ってくることはなかった。彼女が公演の時毎回付けていた髪飾りだけがその場に落ちていた。
みんな死に物狂いで彼女を探したが見つかることは無かった。結果団員は"彼女は誘拐された"そして"人攫いにの被害者"で片付けられてしまい忘れられていってしまったのだ―
「そう…迷惑かけてしまったわね、ごめんね。」
スッと目を瞑りしばしの沈黙。そしてゆっくりと姉さんは言葉を紡ぐ。
―私にあの時用があると云ったのは、教団のとある元帥。
―たまたま元帥が持っていたイノセンスが私がソロで演じている時反応したみたいなの。
―元帥は「家族に不自由なく暮らせるだけのお金は出す。」て云ったの。
真っ先にアッくんとマーちゃんが浮かんだわ。
彼女はあの誘拐事件の裏で、幼いながら大きな決意でエクソシストになったのだ。
「でもね、私入団して気づいたのよ、アっくんとマーちゃんにちゃんとお金が振り込まれてたのか…。」
「どうなんだろう…僕はそう云ったの聞いたこと無いや、マナって今でも良く分からない感じだし。」
わかるわ、どこか掴みどころ無かったのよね。と神妙な面持ちでうな垂れる彼女を見てようやく安心してきた。彼女は喜怒哀楽がはっきりしている性格だった。初めて会った時は煩わしいと思ったことがあるが、いつしか何度も救われた。僕の変わりに泣いてくれたり、大声で笑ってくれたり。マナも僕も彼女が大好きだった。
「それで…その髪と瞳は?」
「あはは〜……黙秘権発動ッ!」
「やかましいわっ!」
血は繋がってなくても
(そういえばアレンも何で髪の色違うの?)(ぎくぅ!)
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