X破壊指令
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雪のちらつく寒い夜。
こんな日は早く家に帰って暖かいスープでも飲みたい。
暖炉の前のロッキングチェアで居眠りしたい。
一家団欒ママのご馳走に歓声をあげるのもいいだろう。
だが、そのどれも今は叶いそうにない。
寒空の下吹き付ける風が身に凍みる。
普段だったら今ごろ私もワイリー博士の秘密基地で夕食の支度をしていただろう。
(早く帰りたい…)
ナナシは小さく鼻を鳴らし両の腕をさすりあげる。
ニードルマンに用意されたトナカイの衣装は、ふわりと広がるスカートで首元にベルとファーをあしらった大変可愛らしいものであったが、どうにも足が寒い。
おしゃれは気合だとはいうが、気合を入れても見てくれるのはじじいと機械共だけである。
美しいイルミネーションに彩られた街。
さっきまで幸せそうな人々で溢れていた広場には、殺伐とした空気が充満している。
カラフルに飾り付けられたクリスマスツリーの下で睨み合う一団。
悪の科学者Dr.ワイリーとその軍団、それに相対するは正義のヒーロー ロックマンと彼の兄弟機達だ。
「フハハハ!!よくきたなロックマン!ここが貴様の墓場じゃ!」
「Dr.ワイリー!みんなのクリスマスを台無しにするなんて許さない!サンタさんを放せ!!」
サンタクロース、もといサンタクロースの格好をしたライト博士が、ワイリーの後ろでフロストマンに拘束されている。
彼ほどサンタ服が似合う人はいないだろう。
白い髭と人の良さそうな顔が、おとぎ話に描かれるサンタクロースにそっくりである。
サンタを待つロックマン達にプレゼントを渡して喜ばせるつもりだったのか、彼の背負っていた袋の口からは色とりどりの小包が見えている。
「みんなのクリスマスじゃと……?フンッ!みんなの、なら何でワシだけプレゼントがもらえないんじゃ!」
「良い子のところにしかサンタさんは来ないのよ!自業自得じゃないの!」
ロールの言う通りである。
世界征服をたくらむ悪の科学者が良い子のはずが無い。
「うるさい!ワシは人間どもに虐げられしロボット達を解放するスーパー良い子じゃ!!のう、ナナシ!?」
「いや博士そもそも大人でしょう?子供じゃないからサンタさんは来ませんよ」
初耳だとでも言うかのように目を丸くするワイリー。
「大人はプレゼントもらえない。そんなことも知らないのか」
エレキマンが呆れたようにため息をつく。
「うるさいうるさい!!ワシは心はいつまでも少年じゃ!!」
「ああ、たしかにいつまでも子供ですね。すぐ駄々こねますし。好き嫌い多いですし」
「……」
「早く帰りましょうよ。夜更かししてる悪い子のところにはサンタさんは来ないんですよ」
「ワイリーのやつ、ナナシに子供扱いされてやがる」
クスクスと内緒話になってない笑い声が聞こえる。
当然博士にも聞こえたようで怒りと恥ずかしさで真っ赤になっている。
「と……とにかくサンタのプレゼントは、みーんなワシの物じゃい!!」
「そんなぁ!」
「自分がプレゼントもらえねぇからって、他人のプレゼント奪うこたぁねぇだろ!!」
そうだそうだと野次が飛ぶ。
「ワシがプレゼントもらえないのにロックマン、貴様がもらえるのが気に食わんのじゃ!!……行け!スノラー!!」
博士の合図で頭上から巨大雪だるまロボット、スノラーが地響きをたてて落ちてきた。
スノラーが空気を吸い込み、頭のてっぺんのバケツから雪玉を上空へ発射する。
雪玉からパラシュートが開き、ゆっくりと降りてくる。
「雪だるまが降ってきた!?」
「わあ~かわいい」
「んなこと言ってる場合かよ……ん?」
地上へと降りてきた雪だるまは突然動きだし、ロックマン達へと襲いかかる。
「きゃ!」
「ロールちゃん!?」
「ファイヤーストーム!!」
非力なロールにも襲いかかった雪だるまをファイヤーマンが蹴散らす。
「ロールは俺達が守る!ロックはデカい雪だるまを倒してくれ!」
「わかった!」
しかし雪だるまに行く手を阻まれ思うように動けない。
カットマン達が片っ端から雪だるまを砕いていくが、その間にもスノラーは雪玉を発射している。
「次から次へときりがねぇ!」
「小さな雪だるまが厄介だ。発射口を壊すんだ、ロックマン!」
スノラーの頭めがけてバスターを浴びせるロックマン。
『―ッ!!』
スノラーが太い眉毛を歪めて嫌がるような素振りを見せる。
「こいつ、他の部分に攻撃されてもなんともねぇのに頭に攻撃されて嫌がってやがる」
「なるほど、こいつの弱点は頭か!」
弱点がばれてしまっては倒されるのは時間の問題だろう。
逃亡用のUFOを呼んでおこう。
「行け、ロックマン!ヤツの頭を狙え!!」
「喰らえ!チャージショット!!」
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