マグネットマンはソファで眠る彼女を起こさないよう、そっと毛布を掛けてやる。
彼女の横顔はひどく幼く見えた

「まったく、こんなになる前に言ってくれればいいものを……」

人が良いから頼まれごとを二つ返事で請け負って、仕事をため込んでいたのだろう。
無理をするなと言っても聞かないことは分かっているが、それでも言ってやらねばと思わざるを得ない。
彼女はいつだってそうだ。
他人のために自分をないがしろにする。
それが彼女の良さであり短所でもある。
だからこそ放っておけないのだ。
マグネットマンは優しく彼女の髪を撫でる。

「……もっと俺を頼って欲しいんだけどな」

自嘲気味につぶやく。彼女には色々助けられているし、恩もある。だがそれ以上にマグネットマンにとって彼女はかけがいのない存在なのだ。
だから頼ってほしいと思う。そして出来れば自分にだけ甘えてほしいとも思う。しかしそんな事を言えばまた困った顔をさせてしまうだろうから口には出さないけれど。
かわりに彼女の髪にそっと口づけを落とす。

「おやすみ、よい夢を」

そう言ってマグネットマンは部屋を出ていった。