特別な甘さを
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チョコレートのチラシが目立つ場所に放置してあったり、朝からやたら話しかけられるなぁと思ったり、なんなら今日の日付を聞かれることもあった。
「そうか今日はバレンタインデーね」
カレンダーを見てようやく気が付いた。しかしナンバーズ全員にあげるとなるとかなりの量が必要となるが、給金とは名ばかりのおこずかい程度の額では市販品はとてもじゃないが無理だ。
いっそ作るか? でもこの人数だしな……。
「溶かして固めるだけでもいいかな。さすがに味気ないか……」
とりあえず材料を買うために買い出しに出たら見覚えのある金色のポニーテールが揺れていた。たまにスーパーで会うお手伝いロボットのロールちゃんだ。このワイリー基地ってライト博士の研究所に近いのかしら。そのあたりのしがらみや因縁はよく分からないので普通に声をかける。
「あらロールちゃん久しぶり!」
「あ、ナナシさん、こんにちは!」
DRNもDWNほどではなくとも人数いるから大変だろう。バレンタインはいつもどうしているのだろうか。
「ロールちゃん、今日ってバレンタインよね。誰かにあげるの?」
「え!研究所のみんなにチョコレートケーキを作ってあげる予定です」
何故かすごく慌てて照れながら答えるロール。もしや……
「ロックには特別にあげたりしないんだ?」
「!?そんな特別になんて……!」
図星だったようでロールは顔を真っ赤にして慌てふためく。いやー甘酸っぱい。ごちそうさまって感じだ。あまりからかっても可哀想なのでそこらにして別れる。
チョコレートケーキは悪くない選択だと思うが、さてどうするか。そう思考をめぐらした時安売りの棚が目に入る。すると賞味期限間近の小麦粉が大量に安くなっていた。なんでも発注ミスしたらしい。これはと思いカートに詰め込む。ついでに無塩バターと砂糖も買い足しておく。
基地に帰り、期待するような視線をしり目にキッチンでは無く工作台へ向かう。
空になったのE缶の容器をよく洗い、カッターで切る。ハート形に形を整えたら口に入れても問題ない接着剤で接着する。簡単クッキー型の完成だ。
そう、ココアクッキーを大量に作ることにしたのだ。
「ココアもチョコレートも原材料はカカオ豆だから同じようなものよね」
うんうんとひとりでうなずく。
オーブンを予熱し、ボウルにバターと砂糖を加えてよく混ぜる。卵を加え混ぜたらふるいにかけた小麦粉とココアパウダーを加えて切るように混ぜる。生地を冷蔵庫で寝かせた後、平べったく伸ばして先ほどの型で型抜く。オーブンで焼き色が付くまで焼く。
「わぁ良いにおい、何作ってるの?」
ヒートマンが無邪気に聞いてくる。
「クッキーだよ。後でヒートにもあげるね」
「やったー!」
ヒートマンは元気にキッチンを飛び出していく。
すると入れ替わりでメタルマンが入ってくる。
「何やってんだ、ナナシ」
「クッキー作ってるのよ。バレンタインだもの」
「ほう?誰にやるつもりだ?」
「それはもちろんナンバーズみんなによ」
当たり前のように言うとメタルマンの顔が少しこわばる。
「……ナンバーズの連中に義理チョコを配るというわけか?」
「え?だって全員に配らないと不公平になるでしょう?」
当然のことを聞くものだと思って返すとなぜか微妙な空気が流れる。何かおかしなことを言ったかしら。メタルマンは面白くなさそうな顔でこちらを見てくる。
「もしかして自分だけ特別なものが欲しいとか思ってたりする?」
少し意地悪っぽく聞いてみる。
「……そうだと言ったらくれるのか?」
意外な答えが返ってきたことに驚く。まさかあの鉄面皮のメタルマンがそんなことを言うとは思わなかった。
「いいよ。私あげられる範囲のものであればね」
「そうか、では……」
メタルマンはおもむろにマスクを外し、顔を近づけてくる。そのまま唇に触れるだけのキスをされた。突然の出来事に頭が真っ白になり、呆然としてしまう。
「これで十分だ」
そう言い残し、キッチンを出て行ってしまった。残された私はその場にしゃがみこみ、手で顔を覆う。
(心臓に悪い……)
特別な甘さを
唇に残るのはチョコレートより甘い余韻
「そうか今日はバレンタインデーね」
カレンダーを見てようやく気が付いた。しかしナンバーズ全員にあげるとなるとかなりの量が必要となるが、給金とは名ばかりのおこずかい程度の額では市販品はとてもじゃないが無理だ。
いっそ作るか? でもこの人数だしな……。
「溶かして固めるだけでもいいかな。さすがに味気ないか……」
とりあえず材料を買うために買い出しに出たら見覚えのある金色のポニーテールが揺れていた。たまにスーパーで会うお手伝いロボットのロールちゃんだ。このワイリー基地ってライト博士の研究所に近いのかしら。そのあたりのしがらみや因縁はよく分からないので普通に声をかける。
「あらロールちゃん久しぶり!」
「あ、ナナシさん、こんにちは!」
DRNもDWNほどではなくとも人数いるから大変だろう。バレンタインはいつもどうしているのだろうか。
「ロールちゃん、今日ってバレンタインよね。誰かにあげるの?」
「え!研究所のみんなにチョコレートケーキを作ってあげる予定です」
何故かすごく慌てて照れながら答えるロール。もしや……
「ロックには特別にあげたりしないんだ?」
「!?そんな特別になんて……!」
図星だったようでロールは顔を真っ赤にして慌てふためく。いやー甘酸っぱい。ごちそうさまって感じだ。あまりからかっても可哀想なのでそこらにして別れる。
チョコレートケーキは悪くない選択だと思うが、さてどうするか。そう思考をめぐらした時安売りの棚が目に入る。すると賞味期限間近の小麦粉が大量に安くなっていた。なんでも発注ミスしたらしい。これはと思いカートに詰め込む。ついでに無塩バターと砂糖も買い足しておく。
基地に帰り、期待するような視線をしり目にキッチンでは無く工作台へ向かう。
空になったのE缶の容器をよく洗い、カッターで切る。ハート形に形を整えたら口に入れても問題ない接着剤で接着する。簡単クッキー型の完成だ。
そう、ココアクッキーを大量に作ることにしたのだ。
「ココアもチョコレートも原材料はカカオ豆だから同じようなものよね」
うんうんとひとりでうなずく。
オーブンを予熱し、ボウルにバターと砂糖を加えてよく混ぜる。卵を加え混ぜたらふるいにかけた小麦粉とココアパウダーを加えて切るように混ぜる。生地を冷蔵庫で寝かせた後、平べったく伸ばして先ほどの型で型抜く。オーブンで焼き色が付くまで焼く。
「わぁ良いにおい、何作ってるの?」
ヒートマンが無邪気に聞いてくる。
「クッキーだよ。後でヒートにもあげるね」
「やったー!」
ヒートマンは元気にキッチンを飛び出していく。
すると入れ替わりでメタルマンが入ってくる。
「何やってんだ、ナナシ」
「クッキー作ってるのよ。バレンタインだもの」
「ほう?誰にやるつもりだ?」
「それはもちろんナンバーズみんなによ」
当たり前のように言うとメタルマンの顔が少しこわばる。
「……ナンバーズの連中に義理チョコを配るというわけか?」
「え?だって全員に配らないと不公平になるでしょう?」
当然のことを聞くものだと思って返すとなぜか微妙な空気が流れる。何かおかしなことを言ったかしら。メタルマンは面白くなさそうな顔でこちらを見てくる。
「もしかして自分だけ特別なものが欲しいとか思ってたりする?」
少し意地悪っぽく聞いてみる。
「……そうだと言ったらくれるのか?」
意外な答えが返ってきたことに驚く。まさかあの鉄面皮のメタルマンがそんなことを言うとは思わなかった。
「いいよ。私あげられる範囲のものであればね」
「そうか、では……」
メタルマンはおもむろにマスクを外し、顔を近づけてくる。そのまま唇に触れるだけのキスをされた。突然の出来事に頭が真っ白になり、呆然としてしまう。
「これで十分だ」
そう言い残し、キッチンを出て行ってしまった。残された私はその場にしゃがみこみ、手で顔を覆う。
(心臓に悪い……)
特別な甘さを
唇に残るのはチョコレートより甘い余韻
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