寒い日には温かいココアを
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寒い寒いと思ったら、窓の外には雪がちらついていた。テレビのニュースキャスターの言うことには今日は記録的な寒さだそうだ。
『明日の天気も、雪でしょう。では続いてのニュースです……』
「こりゃ積もるだろうなぁ」
フラッシュマンがテレビを見ながらE缶を飲んでいる。
都市部は環境制御システムのおかげで降水量が制限されているので都市機能が麻痺するなんてことはありえないが、基地のある人里離れた山間部はそうではない。クラウドマンの部下のテルテルは雨や雪を人工的に降らすことは可能だが、自然に降る雪を止めることはできない。雨も雪もそのままに降り積もることになる。
裏のポーチに出ようとしたら、フラッシュマンに呼び止められた。
「おい、ちょっと待てよ、この雪の中どこへ行くんだ」
「今のうちに買い出しに行かないと。手伝ってくれる?」
「そりゃ構わんが、お前は本当に働き者だよな」
フラッシュマンは呆れたようにため息をつく。
「こんな日にわざわざ外に出なくてもいいじゃねえか」
「そんなこと言わないでさ。私一人だと持てる量が少ないから」
「わかったよ」
フラッシュマンはしぶしぶという感じだったが、ついてきてくれるようだ。
「それで何を買いに行くんだ?」
「まずは食料かな。それと、E缶とか日用品とかいろいろね」
二人は街に出ることにした。風が吹いていて、雪を飛ばしている。吐く息は白く視界を曇らせる。コートを着込んで、足下はブーツを履いていたがそれでも寒いものは寒かった。雪が降り始めたせいもあって、気温はかなり低くなっていた。
「これは明日の朝は大仕事になりそうだな」
フラッシュマンがぼやく。確かにこの調子ならかなり積もりそうな気配である。
買い物を終え、基地に帰り着いた頃にはもう辺りは暗くなり始めていた。
「ずいぶん買ったな」
「食材用の冷蔵庫が小さいからね、買いだめしづらいの」
重い荷物を抱えながら基地の廊下を歩く二人。ナナシは食材が冷蔵庫に入り切るか今更ながら心配になってきた。基地には化学薬品用の冷蔵庫もあるが、心情的にできればそこには入れたくない。
キッチンに着いて、冷蔵庫に買ってきた食材を詰め込む。ぎりぎり入ったところで一安心する。
「おかげで助かったわ。ココアでも飲む?」
ナンバーズは人間の食べ物は、味を感じることはできるがエネルギーにはほとんどならないため、普段は摂らないようにしている。今日くらいはいいだろう、そう思ってフラッシュマンは首を縦に振る。
久しぶりに飲むココアはひどく甘ったるく温かく感じた。
※ ※ ※
翌朝、フラッシュマンの言ったとおり大雪となったが、天気予報とは裏腹に雲一つない快晴であった。
雪かきには基地内のナンバーズほぼ全員が動員されたが、皆ある程度やると飽きて遊び始めたり、いつのまにかいなくなったりしていた。
ヒートマンは通路を行ったり来たりして雪を溶かしていたが、寒い寒いと文句を言いながらどっかに行ってしまった。
タップマンは地面に氷を張った即席スケートリンクを滑っている。
ジェミニマンは自分そっくりの雪の彫像を作ってる。
スネークマンにいたっては最初から部屋にこもって出てこない。
隅の方でウッドマンが雪だるまを作っている。クラッシュマンがその雪だるまを壊して遊んでる。ウッドマンに怒らなくていいのか聞けば、「クラッシュ兄さんが楽しそうだから良いんです」と笑う。
ウッドマンが作り、クラッシュマンが壊す。
非生産的な遊びに興じている2機を見て何かいたたまれない気持ちになる。
「そうだ!かまくら作ろうよ!」
「カマクラ……?」
思わず提案したが、2機ともいまいちピンと来てないようだったので雪で作ったドーム状の家だと説明する。
「なるほど、それを壊せばいいのか」
「違うよ!中に入って遊ぶんだよ!」
物騒なことを言うクラッシュマンにナナシは慌てて否定する。
「僕や兄さんたちが入れるように大きなの作らないとですね」
ウッドマンはやる気のようだ。
「ウッドは大きな雪玉作る係ね。クラッシュは踏み固める係」
「わかった」
クラッシュマンの重量なら良い重しになるだろう。
「なに遊んでんだお前ら」
雪かきに使ったのであろうブルドーザーに乗ったフラッシュマンがやってくる。
「フラッシュ兄さん、カマクラ作るんです!」
「かまくら…?そこにか?」
クラッシュマンが踏み固めた雪を指さすフラッシュマン。すると思いついたように、
「じゃあちょっと退いてな」
と重機を操り、かまくら建設予定地に雪の塊を乗せ始め、みるみるうちに巨大な雪山ができていた。
「こんなもんで良いか?」
「わぁ!すごい!」
ナナシが感嘆の声をあげる。
「ありがとう!」
それに片手を上げて答えるとフラッシュマンは去っていった。後は穴を掘るだけでかまくらは完成だ。
※ ※ ※
完成したかまくらの内部は思っていたより広く、ウッドマンも余裕で入れる大きさだった。かまくら内部で座れるように椅子を作っていると、フラッシュマンが顔を出した。
「よ。差し入れだ」
右手にはE缶を数本抱え、左手には湯気の立つマグカップを持っている。
「わぁ、ホットココア!ありがとう!」
寒さと雪の冷たさでかじかんだ手に温かさが染みわたった。
「クラッシュ兄さん、E缶開けましたよ」
不器用なクラッシュマンはE缶も自力では開けられない。なにかと世話を焼いてくれる兄弟機達がいるからあまり困っていないようだが。
「サンキュ」
ウッドマンから受け取ったE缶をクラッシュマンが一口飲む。
「美味しいですか?」
「ああ」
ウッドマンの問いにクラッシュマンは短く答え、もう一口飲んだ。
「快適だなー。もうここに住んじゃおかな」
「やめとけ凍死するぞ」
冗談だよと笑うナナシにフラッシュマンが苦笑する。
大きなかまくらにおだやかな笑い声が溢れていた。
寒い日には温かいココアを
(あなたと飲むともっと幸せ)
『明日の天気も、雪でしょう。では続いてのニュースです……』
「こりゃ積もるだろうなぁ」
フラッシュマンがテレビを見ながらE缶を飲んでいる。
都市部は環境制御システムのおかげで降水量が制限されているので都市機能が麻痺するなんてことはありえないが、基地のある人里離れた山間部はそうではない。クラウドマンの部下のテルテルは雨や雪を人工的に降らすことは可能だが、自然に降る雪を止めることはできない。雨も雪もそのままに降り積もることになる。
裏のポーチに出ようとしたら、フラッシュマンに呼び止められた。
「おい、ちょっと待てよ、この雪の中どこへ行くんだ」
「今のうちに買い出しに行かないと。手伝ってくれる?」
「そりゃ構わんが、お前は本当に働き者だよな」
フラッシュマンは呆れたようにため息をつく。
「こんな日にわざわざ外に出なくてもいいじゃねえか」
「そんなこと言わないでさ。私一人だと持てる量が少ないから」
「わかったよ」
フラッシュマンはしぶしぶという感じだったが、ついてきてくれるようだ。
「それで何を買いに行くんだ?」
「まずは食料かな。それと、E缶とか日用品とかいろいろね」
二人は街に出ることにした。風が吹いていて、雪を飛ばしている。吐く息は白く視界を曇らせる。コートを着込んで、足下はブーツを履いていたがそれでも寒いものは寒かった。雪が降り始めたせいもあって、気温はかなり低くなっていた。
「これは明日の朝は大仕事になりそうだな」
フラッシュマンがぼやく。確かにこの調子ならかなり積もりそうな気配である。
買い物を終え、基地に帰り着いた頃にはもう辺りは暗くなり始めていた。
「ずいぶん買ったな」
「食材用の冷蔵庫が小さいからね、買いだめしづらいの」
重い荷物を抱えながら基地の廊下を歩く二人。ナナシは食材が冷蔵庫に入り切るか今更ながら心配になってきた。基地には化学薬品用の冷蔵庫もあるが、心情的にできればそこには入れたくない。
キッチンに着いて、冷蔵庫に買ってきた食材を詰め込む。ぎりぎり入ったところで一安心する。
「おかげで助かったわ。ココアでも飲む?」
ナンバーズは人間の食べ物は、味を感じることはできるがエネルギーにはほとんどならないため、普段は摂らないようにしている。今日くらいはいいだろう、そう思ってフラッシュマンは首を縦に振る。
久しぶりに飲むココアはひどく甘ったるく温かく感じた。
※ ※ ※
翌朝、フラッシュマンの言ったとおり大雪となったが、天気予報とは裏腹に雲一つない快晴であった。
雪かきには基地内のナンバーズほぼ全員が動員されたが、皆ある程度やると飽きて遊び始めたり、いつのまにかいなくなったりしていた。
ヒートマンは通路を行ったり来たりして雪を溶かしていたが、寒い寒いと文句を言いながらどっかに行ってしまった。
タップマンは地面に氷を張った即席スケートリンクを滑っている。
ジェミニマンは自分そっくりの雪の彫像を作ってる。
スネークマンにいたっては最初から部屋にこもって出てこない。
隅の方でウッドマンが雪だるまを作っている。クラッシュマンがその雪だるまを壊して遊んでる。ウッドマンに怒らなくていいのか聞けば、「クラッシュ兄さんが楽しそうだから良いんです」と笑う。
ウッドマンが作り、クラッシュマンが壊す。
非生産的な遊びに興じている2機を見て何かいたたまれない気持ちになる。
「そうだ!かまくら作ろうよ!」
「カマクラ……?」
思わず提案したが、2機ともいまいちピンと来てないようだったので雪で作ったドーム状の家だと説明する。
「なるほど、それを壊せばいいのか」
「違うよ!中に入って遊ぶんだよ!」
物騒なことを言うクラッシュマンにナナシは慌てて否定する。
「僕や兄さんたちが入れるように大きなの作らないとですね」
ウッドマンはやる気のようだ。
「ウッドは大きな雪玉作る係ね。クラッシュは踏み固める係」
「わかった」
クラッシュマンの重量なら良い重しになるだろう。
「なに遊んでんだお前ら」
雪かきに使ったのであろうブルドーザーに乗ったフラッシュマンがやってくる。
「フラッシュ兄さん、カマクラ作るんです!」
「かまくら…?そこにか?」
クラッシュマンが踏み固めた雪を指さすフラッシュマン。すると思いついたように、
「じゃあちょっと退いてな」
と重機を操り、かまくら建設予定地に雪の塊を乗せ始め、みるみるうちに巨大な雪山ができていた。
「こんなもんで良いか?」
「わぁ!すごい!」
ナナシが感嘆の声をあげる。
「ありがとう!」
それに片手を上げて答えるとフラッシュマンは去っていった。後は穴を掘るだけでかまくらは完成だ。
※ ※ ※
完成したかまくらの内部は思っていたより広く、ウッドマンも余裕で入れる大きさだった。かまくら内部で座れるように椅子を作っていると、フラッシュマンが顔を出した。
「よ。差し入れだ」
右手にはE缶を数本抱え、左手には湯気の立つマグカップを持っている。
「わぁ、ホットココア!ありがとう!」
寒さと雪の冷たさでかじかんだ手に温かさが染みわたった。
「クラッシュ兄さん、E缶開けましたよ」
不器用なクラッシュマンはE缶も自力では開けられない。なにかと世話を焼いてくれる兄弟機達がいるからあまり困っていないようだが。
「サンキュ」
ウッドマンから受け取ったE缶をクラッシュマンが一口飲む。
「美味しいですか?」
「ああ」
ウッドマンの問いにクラッシュマンは短く答え、もう一口飲んだ。
「快適だなー。もうここに住んじゃおかな」
「やめとけ凍死するぞ」
冗談だよと笑うナナシにフラッシュマンが苦笑する。
大きなかまくらにおだやかな笑い声が溢れていた。
寒い日には温かいココアを
(あなたと飲むともっと幸せ)
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