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昼間だというのに薄暗い空。
降っているのか降っていないのか、はっきりしない霧雨がDr.ワイリーとそのロボット達の秘密基地を包んでいる。
防水加工を施されていないヒートマン達は調子が悪そうにしていたが、バブルマンなどの水中用ロボット達は天気などお構い無しにいつもと変わりなく過ごしていた。
雨樋を伝って地表へと放出される雨水は、さらに側溝へと流れ込み、どこかへと流されて行く。
いつか海へとたどり着けるのだろうか。
それとも水蒸気となり天へと還るのだろうか。
リズミカルに、それでいて不規則に地を打つ雨粒の音を聞きながら、ナナシはとりとめの無い思考を宙へ漂わせていた。
ふと隣を見ると、いつから居たのかスネークマンが座っていた。
居たのなら声の一つかけてもいいだろうに。
こちらから話しかけようとも思ったが、話題のひとつ思いつかなかったので、黙ったまま雨の当たる窓を眺めていた。
「雨、止まないな」「雨、止まないね」
独り言のような呟きが同時に響く。
計ったかのようなタイミングに思わず顔を見合せ苦笑する。
「俺、雨嫌いだな」
気配を消すのには丁度いいし、じめじめしてるのは別に悪くないけど、ナメクジが増えるから嫌だとスネークマンは言う。
「私は嫌いじゃないわよ」
「ナメクジが?」
「雨が、よ!」
もう、意地悪なんだから、とナナシは笑う。
外は相変わらずの雨だったが、ナナシとスネークマンが居る窓際だけすこし明るくなったような気がした。
「なんでお前雨好きなんだよ?」
「うーん、嫌いって言っちゃうと本当に嫌いになっちゃうじゃない?
だから、嫌いなものでも、好きだ、って言えばそのうち本当に好きになるかもしれないし」
「じゃあナメクジは?」
「しつこい!」
暇にまかせて好きか嫌いかの質問合戦が始まった。
「“ヘビ”」
「嫌いじゃないわ」
「俺は大好き」
「“カエル”」
「超大好き。マジ愛してる」
「スネーク、よだれ!」
「“イヌ”」
「うん、普通に好き」
「俺も。そういやメタルマンって犬嫌いらしいぜ?」
「へぇ、というか、あの人博士以外嫌いって感じだよね」
「“メタルマン”」
「……ノーコメントで」
「嫌いでも好きって言うんじゃネェのかよ」
「嫌いとは言ってない!」
「“スネークマン”」
「……好きだよ」
「なんだよその間。じゃあどのくらい好き?」
「ナメクジ以上?」
「酷ェ!」
そんなことを言いつつ窓の外を見ているナナシの耳は、心なしか赤い気がした。
「なァなァ、他のものと比べるとどのくらい好き?」
「だからしつこい!私洗濯物洗わなきゃいけないからバイバイ!」
この雨の中どこに干すんだよ、と突っ込んだらいよいよ真っ赤になるだろうな。
口には出さないが、そう思ったスネークマンだった。
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(俺は数直線のどこにいますか?)
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