かみにふれる
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※失踪宣告(http://38.overplus.biz/)様よりお題をお借りしました。
「天にまします我らの父よ、願わくは御名をあがめさせたまえ」
ベッドと小さな箪笥だけが置かれた殺風景な部屋、光の差し込む天窓の下で、貴女は神に祈りをささげている。
必要最低限の物が置かれただけの部屋は、眠るためだけの場所として与えられたのだろう。
それでも彼女が一人で心静かに過ごせるのはこの場所だけであった。
この秘密基地は地下奥深くにある。
柔らかな光が差し込む窓は当然偽物で、太陽光を模しているだけだ。
彼女はよく私達に彼女の信じる神の話をする。
他のナンバーズはまた始まったと言わんばかりにうんざりした顔をしていたが、私は彼女の話を聞くのは好きだった。
彼女が語る神とその愛の話は、耳あたりの良い寝物語にしか聞こえなかったが。
神の愛は平等に注がれるという。
本当にそうなのだろうか。逆であれば分かる。
被造物は造物主を愛するように、造物主は被造物をそう作るものだから。
人の手で造られた俺たちにとって、造物主とは人間のことなのだろう。
人の手に触れられることに喜びを覚え、温度を感じぬはずのこの機体が温かみを感じるのは、原初に刻まれたロボットとしての本能だろう。
私がかつてそうだったように、工業用ロボットは人の為に作られ、人の為に使われ、壊れていく。
その献身を愛と呼ぶには、いささか乱暴な気がするが。
貴女が懸命に祈る神とやらは、貴女に何をしてくれたのだろうか。
貴女が愛する神は、貴女を愛しているのなら何故、こんな場所に押し込めているのだろう。
そっとその髪に触れれば、貴女ははっと気が付いたかのように顔を上げ、優しく微笑んだ。
その笑顔は私達に等しく向けられるもので、それでも今この瞬間は私だけに向けられている。
それがたまらなく愛しく、哀しかった。
かみにふれる
神はお前を愛さない
「天にまします我らの父よ、願わくは御名をあがめさせたまえ」
ベッドと小さな箪笥だけが置かれた殺風景な部屋、光の差し込む天窓の下で、貴女は神に祈りをささげている。
必要最低限の物が置かれただけの部屋は、眠るためだけの場所として与えられたのだろう。
それでも彼女が一人で心静かに過ごせるのはこの場所だけであった。
この秘密基地は地下奥深くにある。
柔らかな光が差し込む窓は当然偽物で、太陽光を模しているだけだ。
彼女はよく私達に彼女の信じる神の話をする。
他のナンバーズはまた始まったと言わんばかりにうんざりした顔をしていたが、私は彼女の話を聞くのは好きだった。
彼女が語る神とその愛の話は、耳あたりの良い寝物語にしか聞こえなかったが。
神の愛は平等に注がれるという。
本当にそうなのだろうか。逆であれば分かる。
被造物は造物主を愛するように、造物主は被造物をそう作るものだから。
人の手で造られた俺たちにとって、造物主とは人間のことなのだろう。
人の手に触れられることに喜びを覚え、温度を感じぬはずのこの機体が温かみを感じるのは、原初に刻まれたロボットとしての本能だろう。
私がかつてそうだったように、工業用ロボットは人の為に作られ、人の為に使われ、壊れていく。
その献身を愛と呼ぶには、いささか乱暴な気がするが。
貴女が懸命に祈る神とやらは、貴女に何をしてくれたのだろうか。
貴女が愛する神は、貴女を愛しているのなら何故、こんな場所に押し込めているのだろう。
そっとその髪に触れれば、貴女ははっと気が付いたかのように顔を上げ、優しく微笑んだ。
その笑顔は私達に等しく向けられるもので、それでも今この瞬間は私だけに向けられている。
それがたまらなく愛しく、哀しかった。
かみにふれる
神はお前を愛さない
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