遠ざかる昨日と近づく君
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ズドオォォーーーンッ!!!
ナナシは突然の爆発音と地鳴りで目が覚めた。
「何……!?」
「基地が襲撃されているというのに、よく眠るものだな」
「……メタルマン?!」
暗闇の中でも分かる深紅の機体、メタルマンはナナシの枕元に音もなく立っていた。
「襲撃……!?いったいどういう……?」
「余計なおしゃべりは後だ。行くぞ」
あわてて上着を引っ掴み、メタルマンの後を追う。
「本来ならこういったことはシャドーの仕事なんだがな」
「いったい何が……?博士は……?」
「博士はシャドー達が護衛についている。俺も一刻も早く余計な仕事は終わらせて、博士の護衛に回りたい。余計なことは言わずに付いてこい」
メタルマンは余計な心配をするなと言いたげに鼻を鳴らす。
「撃退できても場所がバレた以上、ここには居られない。総員退避後、この基地は爆破する」
「爆破……」
まるで何でもないことのように感情のこもらぬ口調で告げられる。
この基地で過ごした日々はそう長くはないが、思い入れがないわけではない。
それはナンバーズも同じだろう。
メタルマンは動揺するナナシをちらりと一瞥する。
「協力者の1人が裏切った、あるいは最初からそのつもりだったか……」
つぶやくように、吐き捨てる。
「報復は受けることになるだろう」
※ ※ ※
脱出用の船があるのはほぼ基地の端であった。
この廊下をまっすぐ行けば船のあるポートまですぐというところで、敵と鉢合わせする羽目になった。
量産型ではあるが、最新鋭の技術を搭載した戦闘用ロボット2体が見張りとして立ちふさがっている。
「脱出用の船まであと少しだというのに……」
ナナシたちは廊下の角に隠れている。
幸いメタルマンに搭載されているステルス機能により、離れたり視認されたりしないかぎり見つかることは無いだろう。
しかし迂回しようにもかなり遠回りをしなければならない
「首が繋がったままでいたいなら引っ込んでいろ」
メタルマンが飛び出し一瞬で敵2体のヘッドパーツを切り落とした。
なおも動き、銃を撃とうとするロボットの胸にあるコアを破壊する。
ロボット2体は耳障りなビープ音を立てながら動かなくなった。
ホッと安堵するのもつかの間、地響きが近づいてくる。
ズシン……ズシン……
廊下いっぱいに広がるスライムのような巨体、巨大な四肢、イエローデビル型のロボットだ。
通常のイエローデビルと異なり、青白く光る目がこちらを睨みつけてくる。
目が赤く輝いたかと思うとナナシめがけてビームを発射した。
間一髪メタルマンがナナシを小脇に抱えて飛びのいた。
「……!!」
声にならない悲鳴が出る。
偶然ビームが当たった敵の残骸は真っ赤に熱され溶けていた。
あんなものに当たればナナシはもちろんメタルマンでもただでは済まないだろう。
「あのタイプは目が制御装置だが……」
目に向かって投げられたメタルブレードはバチンと音を立ててはじかれてしまった。
「チッ、防弾バリアか……!」
またロボットの目が赤く光ってビームが発射される。
よく見るとロボットの目はもともと赤く、青白いバリアが解かれることで、赤く光ったように見えているようだ。
(ビームを出す直前にバリアが解かれてる……!)
「メタルマン!目が赤くなったら攻撃して!」
「何?!……なるほど、そうか!」
ふたたびビーム発射のためにバリアが解かれると同時にメタルブレードを叩き込む。
制御装置を破壊されたロボットはドロドロに溶け崩れた。
「やった、勝った……!ぐえっ!」
喜びの声をあげるナナシはメタルマンに床にべしゃりと放り出された
「何も落とさなくても……」
「あと5分で基地が爆発する。早く立て」
勝利の余韻を楽しむ暇はないようだ。
※ ※ ※
脱出艇が待っているポートに到着した。
「遅いぞ!早く乗れ!」
先に船に乗って待機していたフラッシュマンが叫ぶ。
他のナンバーズや博士はすでに他の船で脱出したらしい。
「予想外の交戦により少し時間がかかった」
「よし全員乗ったな?飛ぶぞ!」
船が空へ飛び立った直後、はるか下、地上の基地が爆発しているのが見えた。
データや技術の流出を防ぐためとはいえ、慣れ親しんだ場所が跡形もなく崩れ去っていくのは胸が痛んだ。
遠ざかる昨日と近づく君
新しい基地でもメタルマンは相変わらず顔を合わせれば嫌味を言ってくるが、多少柔らかくなったような、そんな気がした。
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