第4話
夢小説設定
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「美人秘書ねぇ……。博士はあんなこと言ってたが、それだけとは思えねぇんだよな」
ナンバーズの共有スペースに置かれたソファに腰かけ、青白いホログラムディスプレイを睨みながらフラッシュマンは独りつぶやく。
「フラッシュ先輩何見てるんすか?」
スネークマンがフラッシュマンの後ろからディスプレイを覗き込む。
気難しく他のサードナンバーズとも衝突することの多いスネークマンだったが、面倒見の良いフラッシュマンのことは先輩と呼び慕っていた。
「実験体No.0774の記録」
「ナナシちゃんの資料?閲覧履歴すごいことなってるな……みんな気になってるんだなぁ」
同室で作業をしていたマグネットマンが椅子の背もたれに寄りかかりながらフラッシュマンの手元に視線を向ける。
フラッシュマンが見ていたのは先日の反ロボット団体の所有する実験施設への襲撃で手に入れた資料の一部だ。
ナナシにこそ閲覧権限は無いが、ナンバーズであれば誰でも閲覧できるようになっていた。
「健康状態とか投薬状況とか、そんなんばっかりで肝心の素性に関する情報が何一つ無ぇんだわ」
他の実験体の情報も似たようなものだ、とフラッシュマンがぼやく。
「おおかた、いなくなっても騒ぎにならないホームレスや家出人を攫ってきたってところだろう」
スネークマン達も自分の端末に資料をダウンロードして閲覧し始めた。
「投薬による感情制御……人間の“心”を人為的に壊すことで、従順で恐怖心の無い戦士を作ろうとしていたみたいだな」
「げェ、ここ死者蘇生の実験までやってるし。ゾンビでも作る気か?」
「表向きは病院として経営してたみたいだし、実験体には事欠かなかったろう」
「ますますホラーじみてきたな」
死を恐れぬ不死身の軍団、それが実験の目的だったのだろう。
戦闘用ロボットが台頭している今、単純な戦力としてはあまり意味が無いが、同じ人間相手やロックマンのように人間に直接攻撃できないロボットには有効だろう。
「なんだフラッシュ、調べものか?」
メタルマンが現れ、スネークマンとマグネットマンに緊張が走る。
二機が慌てて仕事をするふりを始める中、フラッシュマンがちょうど良かったと言わんばかりに向き直る。
「お前、この前の反ロボット団体の研究施設への襲撃、あれの担当だったろ。」
「ああ、そうだが……」
「実験体のデータってこれだけか?」
実験体と聞き、マスク越しでも明らかに不機嫌そうになったのが分かる。
「……ナナシのことか、知らんな、興味もない」
吐き捨てるように返すメタルマン。
「おいおい、わざわざゴミ捨て場まで行って拾ってきたのはメタルだろ」
「博士の命だ。俺の意思では無い……くだらんことに気を回す前に仕事をしろ」
「はいはい、おにいサマ」
何をそうただの人間を目の敵にするのか、実験施設で何があったのか、疑念は数あれど、取り付く島もないメタルマンの様子に、フラッシュマンは直接聞き出すことは諦めた。
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