夏、来る
「今度ジョウト女性陣の方々と海に行く事になりました」
「……なんで僕は誘われてないの?」
「マツバさんは男性だからですよ」
今年も暑い夏がやって来た。ジョウト女子会の一環として、今度皆で海に行こうという話が決まった事をマツバさんに話したら、彼はさも当然の権利のごとく「僕は?」と尋ねてきたが、彼は話を聞いていたのだろうかと思ったものだ。
「……マツバさん、私、女性陣の方々って言いましたよね?」
「確かに言ってたけど。でも彼氏である僕の許可無しにそんな重大な約束を取り付けちゃったの?」
「そんな重大って……ただ皆で海に行くだけですよ?」
「だって海に行くって事は水着になるって事だろ?僕以外の男にそんな姿なんて見せないで欲しいんだけど」
「えぇ……それは流石に無理がありますよ、マツバさん」
マツバさんは一見とても穏やかな人だが、これと決めたら譲らない!という頑なな一面も持ち合わせている。それが今躊躇なく現れているという訳なのである。マツバさんとは付き合いが長いので、こういう事を言ったらごねるだろうなとは思ったので内緒にしておこうと考えたものの、どうせ秘密事は大体千里眼でバレるので、正直に話したがやはり反応は思わしくはないようだった。
「僕は認めないよ、断って欲しいな」
「でも私は行きたいし、もう日程も決めました」
「……なんで僕に一言相談してくれなかったの?」
「お言葉ですが、マツバさんに言ったら絶対に駄目って言うからですよ」
「だってー、他の男に見せたくないんだもん」
「今は洋服みたいな水着だってありますよ?私も露出は苦手ですし……」
「……でも、やっぱり嫌だよ。君の肌が他の男に見られるのは」
そう言いながらマツバさんは私をぎゅっと抱き締める。これは完全に駄々っ子のスイッチが入ってしまったと私は確信する。
こうなったマツバさんは是が非でも自分の意見を押し通すのだ。いつもならそれに私が折れる形になっていたけど、今回は流石に譲れない。皆、忙しい中時間を作って日取りを決めたんだ、マツバさんには悪いけどここは折れてあげる事は出来ないのだ。
「いくらマツバさんが駄目って言っても、私は今回は海に行きますからね」
「……どうしても行っちゃうの?」
「そんな可愛い顔しても、駄目なものは駄目です」
「……じゃあ、僕も行く。それなら行っても良いよ」
「マツバさん、再度言いますが私の話を聞いてました?女性陣とって事はつまり女子会の一環なんですよ?男子禁制なんですったら」
「……じゃあ僕もその日に合わせて男子会するよ。ハヤト君とミナキ君に声掛けるから」
「マツバさん……そこまでしますか、貴方は……」
「そこまでするよ、君の事を愛してるからね」
……常日頃から思っていたが、マツバさんの私に向ける愛はとても深い。もはや過保護なのでは?と思うくらいに私の世話を焼きたがるし、独占欲も人よりも強いと感じられる。それも私限定に発揮されるものなので、他の人に話しても中々信じて貰えない。まぁ、凄く大切にされて愛されてる自覚はあるし、それはとても嬉しいと感じる自分もいるのもまた確かなのだが、マツバさんってこんな人だっけ?と時たま疑問に思う事も未だある。
「で、日程いつ?」
「そんな、ミナキさんとハヤトさんがまだ行くとは……」
「海行きたいってさ、二人共」
「もう連絡したんですか!?」
「こういうのは早い方が良いでしょ?で、いつなの?」
「……も~!マツバさんたら!こっちだって相談しなくちゃいけないのに……」
「ただ女子会の日に男子会の日程が被るだけでしょ?相談する必要ある?」
「大アリです!とりあえずアカネちゃんに連絡するので少し待ってて下さい!」
アカネちゃんに慌てて連絡したら「マツバ君らしいやんね!」と大笑いされてしまった上に「やっぱりジョウトの中でもラブラブカップルやん!お熱いなぁ!」と惚気話だと受け止められてしまうのだった。そしてアカネちゃんは「ついでに他のメンバーにも誘える人おるなら男女問わずに誘って皆で遊ぼうや!って伝えとくな~!」という女子会の枠を超えた集まりになりそうに話は膨らんでいったのだった。
「ね?別に何も問題無かったでしょ?」
「それはそうでしたけど……あくまで最初は女子会だったんですよ?」
「アカネちゃんも言ってたじゃないか?たまには皆で集まるのも悪くないって。あ、僕水着持ってないから買わなきゃ」
「水着持ってないのに海に行こうとしたんですか、貴方は」
「いや~海なんて久しく行ってないから楽しみだね。ちなみに君の水着も僕が買ってあげる」
「いや、そこは良い大人なので自分で用意しますよ……」
「僕好みの着て欲しいし、今度一緒に買いに行こうね?約束だよ」
「今日のマツバさんは話を聞かないマツバさんですね」
「え~、聞いてるよ?君の言葉は一言一句聴き逃したくないからね。とりあえず明日にでも水着買いに行こうよ」
「……はぁ、分かりました」
海、楽しみだね~と上機嫌なマツバさんに抱き締められながら、思わず溜息を零すも、彼は素知らぬ顔で「今はどんな種類の水着があるんだろうね~君に似合うのが見つかれば良いな」なんて少し浮かれた口調で話すばかり。
後日、ジョウトの海にジムリーダー及び四天王が大集合して、「バトルでもやるのか!?」「四天王とジムリーダーが生で見れる!?」と臨時ニュースとして取り上げられる事になるとは、この時の私は思いもしなかった。
「……なんで僕は誘われてないの?」
「マツバさんは男性だからですよ」
今年も暑い夏がやって来た。ジョウト女子会の一環として、今度皆で海に行こうという話が決まった事をマツバさんに話したら、彼はさも当然の権利のごとく「僕は?」と尋ねてきたが、彼は話を聞いていたのだろうかと思ったものだ。
「……マツバさん、私、女性陣の方々って言いましたよね?」
「確かに言ってたけど。でも彼氏である僕の許可無しにそんな重大な約束を取り付けちゃったの?」
「そんな重大って……ただ皆で海に行くだけですよ?」
「だって海に行くって事は水着になるって事だろ?僕以外の男にそんな姿なんて見せないで欲しいんだけど」
「えぇ……それは流石に無理がありますよ、マツバさん」
マツバさんは一見とても穏やかな人だが、これと決めたら譲らない!という頑なな一面も持ち合わせている。それが今躊躇なく現れているという訳なのである。マツバさんとは付き合いが長いので、こういう事を言ったらごねるだろうなとは思ったので内緒にしておこうと考えたものの、どうせ秘密事は大体千里眼でバレるので、正直に話したがやはり反応は思わしくはないようだった。
「僕は認めないよ、断って欲しいな」
「でも私は行きたいし、もう日程も決めました」
「……なんで僕に一言相談してくれなかったの?」
「お言葉ですが、マツバさんに言ったら絶対に駄目って言うからですよ」
「だってー、他の男に見せたくないんだもん」
「今は洋服みたいな水着だってありますよ?私も露出は苦手ですし……」
「……でも、やっぱり嫌だよ。君の肌が他の男に見られるのは」
そう言いながらマツバさんは私をぎゅっと抱き締める。これは完全に駄々っ子のスイッチが入ってしまったと私は確信する。
こうなったマツバさんは是が非でも自分の意見を押し通すのだ。いつもならそれに私が折れる形になっていたけど、今回は流石に譲れない。皆、忙しい中時間を作って日取りを決めたんだ、マツバさんには悪いけどここは折れてあげる事は出来ないのだ。
「いくらマツバさんが駄目って言っても、私は今回は海に行きますからね」
「……どうしても行っちゃうの?」
「そんな可愛い顔しても、駄目なものは駄目です」
「……じゃあ、僕も行く。それなら行っても良いよ」
「マツバさん、再度言いますが私の話を聞いてました?女性陣とって事はつまり女子会の一環なんですよ?男子禁制なんですったら」
「……じゃあ僕もその日に合わせて男子会するよ。ハヤト君とミナキ君に声掛けるから」
「マツバさん……そこまでしますか、貴方は……」
「そこまでするよ、君の事を愛してるからね」
……常日頃から思っていたが、マツバさんの私に向ける愛はとても深い。もはや過保護なのでは?と思うくらいに私の世話を焼きたがるし、独占欲も人よりも強いと感じられる。それも私限定に発揮されるものなので、他の人に話しても中々信じて貰えない。まぁ、凄く大切にされて愛されてる自覚はあるし、それはとても嬉しいと感じる自分もいるのもまた確かなのだが、マツバさんってこんな人だっけ?と時たま疑問に思う事も未だある。
「で、日程いつ?」
「そんな、ミナキさんとハヤトさんがまだ行くとは……」
「海行きたいってさ、二人共」
「もう連絡したんですか!?」
「こういうのは早い方が良いでしょ?で、いつなの?」
「……も~!マツバさんたら!こっちだって相談しなくちゃいけないのに……」
「ただ女子会の日に男子会の日程が被るだけでしょ?相談する必要ある?」
「大アリです!とりあえずアカネちゃんに連絡するので少し待ってて下さい!」
アカネちゃんに慌てて連絡したら「マツバ君らしいやんね!」と大笑いされてしまった上に「やっぱりジョウトの中でもラブラブカップルやん!お熱いなぁ!」と惚気話だと受け止められてしまうのだった。そしてアカネちゃんは「ついでに他のメンバーにも誘える人おるなら男女問わずに誘って皆で遊ぼうや!って伝えとくな~!」という女子会の枠を超えた集まりになりそうに話は膨らんでいったのだった。
「ね?別に何も問題無かったでしょ?」
「それはそうでしたけど……あくまで最初は女子会だったんですよ?」
「アカネちゃんも言ってたじゃないか?たまには皆で集まるのも悪くないって。あ、僕水着持ってないから買わなきゃ」
「水着持ってないのに海に行こうとしたんですか、貴方は」
「いや~海なんて久しく行ってないから楽しみだね。ちなみに君の水着も僕が買ってあげる」
「いや、そこは良い大人なので自分で用意しますよ……」
「僕好みの着て欲しいし、今度一緒に買いに行こうね?約束だよ」
「今日のマツバさんは話を聞かないマツバさんですね」
「え~、聞いてるよ?君の言葉は一言一句聴き逃したくないからね。とりあえず明日にでも水着買いに行こうよ」
「……はぁ、分かりました」
海、楽しみだね~と上機嫌なマツバさんに抱き締められながら、思わず溜息を零すも、彼は素知らぬ顔で「今はどんな種類の水着があるんだろうね~君に似合うのが見つかれば良いな」なんて少し浮かれた口調で話すばかり。
後日、ジョウトの海にジムリーダー及び四天王が大集合して、「バトルでもやるのか!?」「四天王とジムリーダーが生で見れる!?」と臨時ニュースとして取り上げられる事になるとは、この時の私は思いもしなかった。
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