6月
「あいまいな空なのですわ」
窓の外を眺めていたリゼットが呟く。
灰色の厚い雲に覆われた空は、今にも雨が降り出しそうだ。しかし、遠くには夕焼けも見えている。
「……薄明光線が見られそうですね」
リゼットの後ろから、空を見たシラスが言った。
「はくめいこうせん?」
初めて聞いた言葉に首を傾げるリゼット。
「気象現象です。外に出てみましょうか」
ふたりは、見やすいように庭に降りた。
「ああ、丁度いい」
シラスの指差した西の方角を見上げると、雲の切れ間から漏れた太陽の光が放射状に地上に降り注いでいた。
「……綺麗」
宗教画のような幻想的な空に、リゼットは見惚れる。
「あれが薄明光線です。“天使の梯子”ともいわれています」
「天使の梯子……素敵な呼び方ね」
シラスに教えてもらった現象に、あいまいな空も悪くないのですわ、とリゼットは思った。
窓の外を眺めていたリゼットが呟く。
灰色の厚い雲に覆われた空は、今にも雨が降り出しそうだ。しかし、遠くには夕焼けも見えている。
「……薄明光線が見られそうですね」
リゼットの後ろから、空を見たシラスが言った。
「はくめいこうせん?」
初めて聞いた言葉に首を傾げるリゼット。
「気象現象です。外に出てみましょうか」
ふたりは、見やすいように庭に降りた。
「ああ、丁度いい」
シラスの指差した西の方角を見上げると、雲の切れ間から漏れた太陽の光が放射状に地上に降り注いでいた。
「……綺麗」
宗教画のような幻想的な空に、リゼットは見惚れる。
「あれが薄明光線です。“天使の梯子”ともいわれています」
「天使の梯子……素敵な呼び方ね」
シラスに教えてもらった現象に、あいまいな空も悪くないのですわ、とリゼットは思った。