5月

 一日を終え、王太女を部屋まで送り届けた騎士団長。
「ありがとう」
 安全を確認してから、隣の自室に入った。
 数分経った頃、隠し扉を叩く音。王太女が顔を覗かせた。
「リゼット様、どうされました?」
「言い忘れたのですわ。シラス君、また明日ね」
 平和なこの国、王太女と騎士団長の健康も良好。何事もなく明日を迎えられるだろう。それでも、いつ何が起きるかわからないから、願うように明日を約束する。
「はい、また明日」
 おやすみなさいと、騎士団長は王太女の頭を撫でた。
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