5月

 雪のように白い肌、赤みがかった淡い金髪、角度によって色を変える菫青石の瞳、鈴を転がすような声。
 透き通るような美しさは、儚くも見えるが。
「……お転婆もほどほどに」
 中庭を歩いていたシラスは、塀を乗り越えようとしていたリゼットを見つけ、受け止めたところだ。
「うふふ、見つかってしまいましたわ」
 シラスの腕の中で楽しそうに笑うリゼットの瞳は、陽の光を受け透明にも見えた。
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