5月

 武運を祈り見送った女王も、戦地に赴く騎士団長も、覚悟はしていたのだろう。
 それでも、永遠の別離は突然のように思えた。
「──リゼット様?」
 目を覚ましたリゼットは、泣きそうな顔でシラスの首にしがみつく。
「……シラス君は、突然いなくならないでね」
 いつもの夢を見たのだと察した。リゼットは女王として、シラスは騎士団長として、お互いの見る夢は繋がっているのだと最近気づいた。
 シラスは、リゼットを抱きしめる。
「大丈夫です。今度はずっと一緒に……」
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