5月

 リゼットは自分の頭頂に置いた手を、向き合っていたシラスの方へ伸ばす。
「やっと胸まで届きましたわ」
「僕は柱ではないのですが」
 成長期のリゼットは、たまに長身のシラスで自分の背が伸びたことを確認している。
「うふふ。シラス君はこれ以上大きくならないでね」
「もう伸びませんよ」
 シラスはリゼットの頭を撫でた。
「一年後はどうなってるかしら?」
「リゼット様はまだ伸びると思いますよ」
 もう少し目線が近くなってると嬉しいのですわ、とリゼットは思った。
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