4月

 乙女の流す麗しき雫は、水晶か真珠か。
「──リゼット様、どうされました?」
 目を潤ませたゼットに、シラスが手を伸ばしかけた時だ。
「ふあぁ〜……あくびが止まりませんわ」
「……」
 シラスはリゼットの零れた涙を拭い、そのまま柔らかい頬を軽く引っ張った。
「うにゃっ」
「夜更かしするからですよ」
21/30ページ
スキ