4月

「──空ってどこまであるのかしら?」
 自室の窓から、青空を眺めていたリゼットがぽつりと言った。
「この世界は球体ですからね……空に果てはないのかと」
 机の地球儀をゆっくり回しながらシラスが応える。
「天地を創られた神様にしかわからない、ということかしら」
「そうかもしれませんね。ところで、目の前の問題は王太女殿下がその気になれば、すぐに解決するかと」
 帝王学のひとつ、兵法の問題を解いている最中だった。最後の一問が空白のままだ。
「うぅー、飽きたのですわ。わたくしに翼があったら遠くの空へ……」
「この問題が終わりましたら、外へお連れしますから」
 それを聞いたリゼットは、一分と掛からずに完璧な解答を提出した。
12/30ページ
スキ