4月

 渡り鳥が自分たちの国へと帰っていく。
 空を見上げ、鳥の群れを見送っていたリゼットは、隣に立つシラスに視線を移した。
「……シラス君は、まだわたくしの傍にいてくださる?」
 渡り鳥に思うところがあったらしい。
 シラスはリゼットの手を取り、誓いの口づけをする。
「僕のいる場所は此処です。これからも、ずっとお傍におりますよ」
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